3・12院内集会「待ったなし!共同親権」レポート

令和2年3月11日に単独親権違憲訴訟の第2回公判があり、その後、議員会館で「待ったなし!共同親権」と題して院内集会を行いました。

集会では、新型コロナウイルス対策を十分に行った中で、約70名程度の方々にお集まりいただきました。

また、国会が開催中であるにもかかわらず4名の国会議員の先生方も駆けつけてくださいました。

集会では、初めに、単独親権違憲訴訟の原告団代表である宗像さんから挨拶がありました。あいさつでは「今回の訴訟で、国は、子ども達を別居親に会わせないのは、同居親側の問題であり国には責任がないと主張している。また、次回の期日までに、国側は、積極的な主張を出すとしているので、しっかりと読んで対応したい。」との話がありました。

次に、原告弁護団である稲坂法律事務所の稲坂将成弁護士、古賀礼子弁護士、富田隼弁護士の3名から共同親権訴訟、単独親権違憲訴訟などの名称がつけられた本訴訟についての説明がありました。

本訴訟は、抽象的な価値観に対する訴訟ではなく、価値観を超えて子供の成長に直接影響を与える極めて重大な訴訟であること。子どもと一緒に暮らしていた親に非があったと認定されていないのに子どもとの接触する機会を奪われ、親子が引き離されるなど、常識的におかしい問題であること。また、問題の原因として日本では離婚する親に共同養育を調整する機会がないこと。本来、離婚時に子の共同養育を調整する機会を確保するのが国家の役割であり、親権制度の役割であること。その調整する機会を放棄する国家の責任を訴訟で追及すること等の話がありました。

弁護団の説明の後、集まっていただきました国会議員の方々の紹介と当会で集めた約2700筆の署名の提出が行われました。

院内集会に来てくださった国会議員の先生は、宮沢博行衆議院議員、串田誠一衆議院議員、高良鉄美参議院議員、嘉田由紀子参議院議員の4名です。集まっていただきました国会議員の先生方には大変感謝申し上げたいと思います。

その後、作家の橘 玲 先生より「共同親権で戸籍はどうなる?」との表題で戸籍制度と離婚後の単独親権の関係性に講演して頂きました。

橘先生の話では、戸籍制度が現在も残っているのが日本ぐらいで、もともと戸籍制度を確立した中国でもすでに戸籍制度が廃止され、韓国も廃止されているとの話がありました。

日本で継続されている戸籍制度ですが、元来、天皇制と強く結びついて発達した経緯があると言います。日本国民は、天皇の臣民であり、天皇が国民を管理するために戸籍制度を活用してきました。現在では、その意味合いは薄れておりますが、外国人は戸籍に入れないなどは、国民が天皇の臣民であったことの名残だと言うことでした。

戸籍制度は、現在でも国民を管理する制度としては相違がなく、戸籍制度が家族の基本単位となっており、そのなかで親子の関係も形成されている状況になっていると言うことでした。

そのため、一般的にも戸籍から離れると名字が変わり、家族から離れると言う認識になります。例えば、現状、シングルマザーで養育費をもらっている割合が4名中1名程度と少ない現状があります。その背景としては、「うちの子どもじゃないのになぜお金を払うのか」という国民的な意識があり、日本の戸籍文化が養育費の未払いをある程度、容認していることが考えられます。その意味でもシングルマザーの貧困化の原因は戸籍制度からも発生していると言えるかもしれません。

この様に日本文化では、戸籍制度があるため、離婚後は単独親権としないと、再婚した際に、新しい家に古い家の親が出てくると新しい家が維持できなくなるので、離婚後に共同親権を維持できない理由の一つに戸籍制度もあるかもしれないと言うことでした。

戸籍制度と離婚後の共同親権を考えると、再婚した親との関係ではどのようになるのか、戸籍上の親と別居親のどちらが本当の親になるのか、学校ではどちらが保護者となるのか、他の法律や親権制度はどのように整備しないといけないのか等、様々な問題が発生するとの話がありました。

講演後は、質疑応答も活発に行われ、問題の根深さを感じさせられる講演となりました。

また、日本人妻に子どもを連れ去られ、子どもの安否を確認するために子どもの住む共同住宅の共用スペースに行っただけで日本の警察に逮捕され長らく勾留されてしまうと言う人質司法を経験されたスコット・マッキンタイアさんからも日本の司法の異常さについて海外の視点で話してくださいました。

 スコットさんから見た日本は、夫婦の離婚が親子の離婚にもつながっている異常な国家であること。世界では、夫婦は離婚しても親子として離婚したわけではないのに、日本では、夫婦が離婚するとあなたは子どもの親ではないと扱われてしまい、親子が会えなくなってしまうこと。森法務大臣は別居親をATMかキャッシュマシーンと発言しているように見えること。森法務大臣には、お金の話も重要かもしれないが子への愛情について、もっと話をして欲しいこと。お金の話だけして、子どもへの愛情の話をしないことは、子どもの連れ去りを推奨になること。日本は、北朝鮮の子どもの拉致を非難し、ハーグ条約にも批准し、子どもを連れ去ることは悪いことと理解しているはずなのに、なぜ国内の子どもの連れ去りが認められるのか、と日本の問題を問いかけてくださいました。

また、面会交流立法不作為の原告の方も来られており、その方にご登壇して頂き、ご挨拶を頂きました。

最後に、原告一人一人からこの訴訟にかける意気込みを語り、会を締めさせていただきました。

集会後には、懇親会も開催され、嘉田議員にもご参加いただき、暗くなりそうな心に明るく語りかけてくださいました。

今回、この院内集会を通じて、いろいろな視点で再度、この問題を見つめなおすことができました。誰が見ても親権欲しさに子どもを連れ去って、連れ去った者が守られるなど許されるはずがありません。また、日本の子どもの連れ去り問題を知れば、日本国民は、皆、日本の制度はおかしいと理解してもらえます。

しかし、日本人の多大多数は、親権が欲しかったら、先に子どもを連れ去れば守られるなど、この問題自体を知りません。

この問題を解決するためにも、院内集会を通じて皆様にこの問題を理解して頂ければと思います。

参加された皆様、お疲れ様でした。(K)

ほか、下条みつ、福岡資麿、安江伸夫、高木錬太郎、芳賀道也各議員事務所の秘書さんが出席いただいたほか、末松義規議員事務所よりご協力いただきました。