1 仁義なき子どもの奪い合い

家庭裁判所では親権は子どもを相手から引き離して確保したほうに与えられます。そういった知識は援助の現場や弁護士の間では常識です。したがって、「親権を得たかったら子どもを連れて家を出ろ」と、夫婦関係に悩んで来談した人に善意でアドバイスをします。
しかし、こういったアドバイスは、もう一方の親の権利を無視しています。日弁連もこういった行為が違法であることを指摘しています。ひと様の子どもを無断で連れ去る行為は、他人がしても親がしても、誘拐は誘拐です。

2 民事不介入、性差別的なDV対策

多くの父親たちがある日突然妻子がいなくなり、行先がわからなくなるという経験をしています。DVの定義には精神的なものも含まれています(モラハラ)。暴言だけでなく、無視する、携帯電話を見る、などの行為も支配のための手法としてDVに含まれます。定義の問題なので、これをDVでないと言っても意味がありません。

しかし、主観での被害感情も、女性センターや警察への相談履歴があれば保護の対象となり、DV防止法による保護命令や、自治体による住所非開示の対象となります。DV防止法は女性しか保護の対象にしていません。
また住所非開示措置はいったんなされたら、異議申し立ては一切認められません。いくら保護のためとはいえ、これら措置は男女平等と親の権利を無視しているのは明白な憲法違反です。

3 離婚ビジネスの隆盛

家族のことに法律は介入すべきではない、そんな前提で刑事的な介入がなされないのが、家庭内暴力からの自力救済、実子誘拐による実力行使が、「援助」や「脱法指南」として放置されている原因です。
すでにそういった援助は行政からの助成で成り立っており、弁護士の間では親から子どもを引き離して人質にとり、相手から金品をせしめる人質交渉が手法として確立しています。女性の自立を掲げてきた弁護士たちがこういった手法に一番手慣れています。

さらに裁判所は、引き離しを容認したうえで、わざわざ調査官OBを介して面会をさせ、その職員からなる団体の規定に合わせて、1か月に3時間の面会時間を調停や審判で斡旋します。
裁判所職員の再就職先確保のため、面会交流支援団体に仕事を斡旋するためです。これらは戸籍制度のルール内ということでモラルが問われることはありません。知らず知らずに家制度を支えているのです。

4 知らない間に養子縁組……

親権を諦めて手放すと、元パートナーが再婚した際、元パートナーの意思で、断りなく再婚相手の養子に自分の子どもが入れられることもあります。しかもいったん養子縁組させられると、親権者変更をしようとしてもできなくなります。元パートナーが死んでも、子どもはあなたの元には帰ってきません。

現在里親や特別養子縁組の斡旋に携わる方の一部に、単独親権制度に反対する声が強いのは、別居親の同意をいちいちとっていれば、こういった斡旋がしにくくなるからです。もちろん、非婚を選んで一方に親権のないカップルでも、こういった事態は当たり前に起きます。

5 「親権がない」んじゃなくて「人権がない」

親権のない親は単に制度上の理由から親権がないだけです。ところが「親権がないから」という理由で、親権のない親は役所で子どもの情報を拒まれたり、学校で授業参観の参加を拒まれたりと、法的根拠もなく差別を受けることがあります。婚姻カップルにおいては、親権喪失や親権停止には、民法は裁判所の厳格な審査を規定しています。

明らかなダブルスタンダードがそう気づかれないのは、「子どもにとって離婚とは家が二つになること」、その事実に社会が目をつぶり続けているからです。