東洋経済ONLINEが削った回答

東洋経済オンラインから進める会あてに3月13日付で ライターの今一生氏名義で会の代表メールあてに文書で質問があり、進める会では宗像が対応し、電話で趣旨を聞いた上で以下のように文書で回答しました。

この回答をもとに東洋経済オンラインは記事を作っています。

https://toyokeizai.net/articles/-/340881

この記事では宗像のみから回答があった旨述べており、にもかかわらず宗像が回答した一部分のみを記事としているので、ここで回答の全文を公開します。

【  】内はライターの今一生氏が割愛した部分なので、読み比べてみてください。宗像の発言について検証する前に、ご自身の質問について検証するのがよいと思いますがいかがでしょう。(宗像)

◎世の中には、親から虐待されてきた子どももいます。その場合、自分を虐待した親から、離婚をきっかけに離れることができたら、その親に会いたくない子どももいます。そこで、「親に会いたくない」と望む子どもの権利を、離婚後に共同親権を認める場合、どのように守るのでしょうか?

(回答)子どもの安全は親どうしの関係とは別個に守られるべきものです。それは婚姻しているいないを問わず、親どうしの関係とは別個になされるべきで、虐待の加害者が離婚すれば被害者から離れてくれるわけでもありません。
単独親権のもと、親権者は子どもを確保した側に与えられます。つまりDVや虐待の加害者も単独親権者になっています。虐待の加害者の割合で一番高いのは実母で、親権者の8割が女性であることからそれは裏付けられます。現在の制度で子どもの安全が守られていないとするなら、それは親権制度の問題ではなく、現在の虐待の抑止策が有効ではないからです。
こういった問題に対し、基本的にはDVと同様、民事的な対処から刑事的な介入がなされるべきですが、公権力の介入を強めたり、親権の制約制度をきめ細かなものにするなど様々な提案がなされています。いずれにせよ、それは婚姻内外問わない共同親権においても手を打てることで、【だから単独親権を存続させるべきだという意見 は議論のすり替えです。
こういった問いを立てる場合、単独親権制度で虐待の抑止がなされているということを質問者側は提示しなければ、それは、別居親はもっぱら虐待の加害者であるという偏見をもっての問いかけであるという批判を受けることになります。今回の問いも同様です。
実際、単独親権制度があるのに、毎年毎年虐待の相談件数が過去最高を記録しています。】親権の有無と虐待の発生に因果関係はありませんが、あるとしたら、単独親権で同居親が孤立し、それが子どもに虐待行為をするきっかけになりうる場合です。実際、虐待の発生において、実父母の監督がある場合、割合が一番低くなっています。婚姻外においても共同親権が原則化し、双方の親との関係が維持されることで、ひとり親家庭の虐待の抑止もなされることになります。【また、親子引き離しは子どもへの虐待ですので、その抑止もなされます。】

◎離婚後まで共同親権になる場合、子どもは離婚前と同様に両親の争いを見る機会が温存されます。今日では、子どもが両親の争いに立ち合えば、それ自体が心理的虐待とみなされ、一時保護の対象となります。離婚後まで心理的虐待を子どもに与えるリスクがないようにするために、どのような法的配慮が必要だと考えていますか?

(回答)子どもの家は2つになります。双方の家を行き交うので、両親の争いに立ち会う場面は婚姻中よりも減ります。そのために、共同親権に移行した国では、養育時間の配分や話し合いの方法を定めた詳細な養育計画を立てることが、別居・離婚時に義務化されています。【日本のように協議離婚のもとで親権者だけ決めて、子どもから親を引き離すことは虐待ですので、虐待の抑止にもなります。】

◎現行法では、子どもは親権者の良心にのみ期待するしかなく、子どもは自分の進路すら親と交渉して勝ち取らなければならないものになっています。その交渉相手が離婚後も2人のままだと、子どもは交渉に2倍の労力がかかり続け、両親の意見が異なれば、その争いに巻き込まれて悩み苦しむことになります。このように子どもが苦しまないようにするために、離婚後の共同親権を成立させる際に、どんな付帯条項をつけるつもりですか?

(回答)それは婚姻中の共同親権においても同じことですので、もしこういった付帯条項の必要性があるというなら、戦前のように婚姻中も単独親権にするのが一番いいのではないでしょうか。なお、子どもの福祉の観点と男女平等の観点から、戦前の単独親権制度は戦後は婚姻中においてのみ共同親権になっています。共同親権が子どものためにいいからです。【婚姻外の共同親権に付帯条項が必要と考えるのは、別居親は養育にかかわるのは望ましくないという偏見に基づくものです。】

以上