民法改正法案に反対する「ちゃんと共同親権」声明

ずっともっとちゃんと共同親権、では、当会と同じく、今回の民法改正法案への反対を表明しています。

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民法改正法案に反対する「ちゃんと共同親権」声明

私たち「ちゃんと共同親権」は親権制度と婚姻制度を分離させた法改正を目指しています。この度、法制審議会家族法制部会要綱案を反映した、民法改正法案が閣議決定されて国会に上程されるにあたり、私たちはこの民法改正法案(以下「民法改正案」)に反対します。

2024年1月から私たちは法改正案について、問題点を指摘して改善を求める具体的な意見を表明しています。2月7日には、他2団体とともに法務省へ「法制審議会家族法制部会要綱案に対する意見書」を提出し、政党・議員はじめ各方面に働きかけました。しかし懸念点はそのままです。

子どもと引き離された経験のある親の立場から、法制審議会の議論と答申については、受け入れられない内容が多々含まれています。日本国憲法による個人の尊重や男女平等の価値観を家族法制にも徹底させるために、私たちは以下の理由で反対します。

1 養育費の徴収強化のみを進める立法化は誰のためにもならない

「民法改正案」では、法定養育費制度と先取特権について新設していますが、賛成する理由が見当たりません。 養育費強制徴収のために国が税金を支出し、子どもは母親(父親)の不満を聞きつつ父親(母親)から渋々支払われたお金で成長し、子どもに会えずお金だけ取られる親は支払い意欲を失う、という誰も幸せでない状態が固定化するからです。

また、本法案では、離婚後の扶養の責務と父母の協力義務が明記されています。しかし、単独親権の母親取得率が94%の現状で、養育費の徴収強化のみを進めると「パパはお金、ママは家事育児」の性役割を父母に押し付けてしまいます。男女平等の観点からは、子育てにおけるお金も子どもと過ごす時間も、父母同権となる法整備を目指すべきです。

子どもと過ごす機会が養育費の支払い率と相関する統計もでています。しかし、法制審議会は養育計画の義務化を先送りしました。自発的な履行の動機づけが産まれないまま、養育費の強制徴収のみを進めることは、子ども家庭庁が目標と掲げた履行率向上に資するとも思えません。 

2 監護権指定の法定化はリニューアルした単独親権制度

親権より強くて無敵な監護権

民法改正案は、現在の司法追認のもとで横行している連れ去り慣行の合法化になり、誘拐実行者に経済的な支援を保障する誘拐犯支援法になります。父母がもめればどちらかの親の子育ての権限を奪えばよい、という現行単独親権民法のもとで定着した法慣行を反映しているからです。

民法改正案の八二四条の三の1では「子の監護をすべき者」の権利義務を新たに規定しています。監護者は「親権を行う者と同一の権利義務を有する」(八二四条の三の1)とされ、しかも「親権の効力」として民法に規定された諸権限を、財産管理権以外、単独で有して行使することが可能となります。さらに監護者でない親権者は、監護者の行使を妨げられません(八二四条の三の2)。

つまり、監護者が親権者よりも絶大な権限を持つ、逆転現象を産み出します。今後は婚姻中の共同親権状態であっても、司法が監護者を決めさえすれば、親権者の子育てが実質上不可能になります。

先の条文の前項では「子の監護をすべき者」も含めた監護について、必要な事項を協議で決める基準が「子の利益」のみです。 八一七条の一二の1では、自己と同程度の生活保持義務が課され、2項では子の利益のために互いに人格を尊重し協力する義務が課されます。

司法が個人を直接管理し家族・社会を分断する

戦前の国家支配のあり方は家を介した戸主による個人支配でしたが、民法改正案では、国家機関の裁判所による個人支配になります。司法から子育ての権利を奪われ、面会交流の保障もなく、金銭的な義務のみが課されるのです。

現在の家事手続きでは、子どもを囲い込んだ奪取者の監護権を、司法はほとんど追認します。子どもの奪取後の状況を確定するために、離婚後の規定である七六六条を類推適用して「監護者」を指定するからです。また、離婚後に親権と監護者を分属する場合、監護者は親権者と比して限定的な権限を持ちます。しかし、そもそも監護者とは、親権のない親の法的な地位の便宜的な呼称なので、共同親権が原則化すれば不要な法的慣行です。

複雑化した民法改正案を使いこなすためには法を熟知する必要があるので、自分の望ましい家族を手に入れられるのは、結局、優秀な弁護士を雇えるものだけになります。その結果、個人の尊厳と両性の平等の価値を踏みにじり、社会に分断を持ち込む差別支配の道具になるため、私たちは容認できません。 

 現行単独親権民法において親の権利(養育権)が侵害され、国賠訴訟が行われている中、現在の違法な司法慣行を固定化して、追認するための民法改正案の狙いをここで明らかにするとともに、私たちは今回の民法改正案に反対を表明します。

(2024年3月8日ずっともっとちゃんと共同親権)