第8回 手づくり法制審議会議事録・勧告(5月分)

日時:2022年5月7日(土) 15:00~17:00

場所:東京都文京区全労会館 3階会議室

司会 宗像充 

ゲスト 弁護士 古賀礼子

パネリスト 加茂大治/松村直人

配信 佐藤創

書記 大山直美

内容:前半「やりなおし!法制審」ライブ配信15:15~16:00

後半 参加者と議論、勧告策定

議題:法制審議会家族法制部会 第11回会議の議事録について

松村氏、第11回 議事録から議論の内容についての要点と、特に注意すべきポイント、古賀氏からは山口亮子氏による「親権法改正要綱案(法定代理・財産管理を除く)について報告と、議事録についてのコメントを頂き、その後、パネリストらとの議論を行った。

古賀氏の見解

現行民法は、親権が大変に強く作用し、15歳以上は自分の意思で養子縁組ができるなど、別居親は違和感を感じる法制度になっている。

「連れ去り」の違法化は、刑事の扱いになることを意味する。

裁判所は、自分たちの無責任な消極性によって被害が出ていることを、自覚すべきである。

親権、監護権関連の概念と用語整理がなされず、共通の認識を得ないまま、議論しようとしているので無理がある。

憲法で規定されている男女平等が、生活感覚として浸透していないことがこのような形で露呈している。

松村氏の見解

夫婦の意見に相違がある時に、片方の親の申立てにより裁判所から監護者指定を受けると、監護権争いに負けた親が、非親権者としての扱いを受けることになる現状があることに、我々は異議を唱えている。

いわゆる、青本を発行したことで、自分は水野紀子氏が「意見の調整規定がない」と言っていることを知った。

婚姻中共同親権者という、対等な2者が意見の相違で揉めたら、「自力救済」によって、子どもを「連れ去り」、裁判所が監護者の指定手続きによって監護状況を追認するという現在の法運用は、父母の不平等が放置されていることも表している。

夫婦の意見調整規定が無いために、共同親権が実現しないのだと思う。

宗像氏の見解

祖父母の扱いについて国の法制審がおかしな議論をしているのは、「共同監護」の前提がないからである。しかも、お金(養育費の取り立て)さえあればいいというので、「連れ去り」への問題意識がゼロになっている。

国の法制審の見通しとしては、共同監護を否定し、「『連れ去り』を違法化しない」方針が透けて見える。

また、「連れ去り」した親に監護権が与えられている現状を議論しないようにしている。

共同親権者は、子どもに頻繁に会えることを明記しておくべき。

共同親権中に共同監護ができなくなっている現状があるので、権利として共同監護が存在することが言えるのがよい。

子どもに両親が公平にアクセスできることが前提であり、共同親権・共同監護の内容として明記しないまでも、肝になる。民法学者は取りたてていう必要がないと思われていることは良くない。

法制審は、困った人の面倒を見てやっているというスタンスであって、子育てをしている本人に家族の自律制をいかに与えるかの議論をしていない。

国の法制審では、いつも例外から議論を始めており、原則からの議論をする発想がなく、トラブルを抱えた、迷惑な人たちの相手を法や家長が決めるという発想で運営されている。

養育の「機会の均等」を確保するためには、裁判所を規制するための立法が欠かせない状況である。

共同親権の理念が新しい価値観のために、旧来の価値観を持った人々から受け入れられず、我々共同親権推進派が叩かれるという状況になっている。

加茂氏の見解

今回は特に見解はなし。

次回パネリストは高橋孝和氏。

テーマは公開された最新の法制審資料(資料13を含む)をもとに議論を行う。

次回は6月12日(土)15:10から17:00まで @全労会館

以上

【法務省法制審議会・家族法制部会への勧告 8】

2022年5月26日

法務大臣 古川 禎久 様

法務省法制審議会 家族法制部会 部会長 大村敦志 様

法務省法制審議会 家族法制部会 委員の皆様

          

任意団体 手づくり民法・法制審議会

長野県下伊那郡大鹿村大河原2208

(担当・宗像 充)

私たちは、離婚と子どもに関する法的問題について議論をしている団体です。常任メンバーには、子どもと不当に引き離された経験を持つ親が多いですが、法制審議会と平行して、市民の視点からの独自の議論を継続的に行っています。

2022年4月9日に当団体で、法務省法制審議会第9,10回の議論をもとに、第7回「やり直し法制審」の議論をインターネット配信しました(共同親権運動チャンネル・羽田ゆきまさ報道局)のでどうかご覧ください(「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」のサイトで議事録も公開しています)。

「法制審議会家族法制部会・やり直し法制審」(2021年8月~2022年4月分)

第1回 8月

第2回 9月

第3回 10月

第4回 11月

第5回 12月

・1、2月の配信はなし

第6回 3月

第7回 4月

https://www.facebook.com/events/358449866215845?acontext=%7B%22event_action_history%22%3A[%7B%22mechanism%22%3A%22your_upcoming_events_unit%22%2C%22surface%22%3A%22bookmark%22%7D]%2C%22ref_notif_type%22%3Anull%7D

第8回 5月

法務大臣の民法法制審議会の諮問事項は「父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や子の養育の在り方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益の確保等の観点から、離婚及びこれに関連する制度に関連する制度に関する規定等を見直す必要があると思われるので、その要綱を示されたい。」ということです。

そこで、当団体での議論を踏まえ、法制審議会での議論の推移について、以下の点を指摘し、法制審議会における議論への反映を強く求め、勧告いたします。

【勧告】

夫婦が子どもを共同監護することは、婚姻中共同親権に基づく権利であるにもかかわらず、別居などをきっかけに、共同監護という婚姻中の権利すら保障されない実態が法制審において全く議論されていません。子どもから見て対等な両親の関係性を構築し、両親が子どもに対して公平にアクセスできる環境の整備が必要です。

そのためにも、婚姻内外問わず共同での監護を担保する法制度の実現を前提とした議論を望みます。

以上