ぐんま共同親権・共同養育推進会議レポート

7月5日に、群馬県渋川市で、表題のイベントがありました。事前の主催者との折衝では、あまり他のパネラーと議論してほしくなさそうだったので、「それで子どもと会えるんなら別居親支援は楽だよなあ」と思ったけど言いませんでした。

主催者の猪熊さん

宗像のほうからは、運動の歴史を話してくれという、これまでの運動の歴史の中で、一度もなかったお題だったので、過去の新聞記事や2010年に作った提言集を紹介しながら30分の駆け足で話してみました。

終了後の懇親会で、提言集を他の人に見せたら「古くなってる感がないですよね」と言われ、つまり状況は変わっていないということで。提言集は以下から見られます。(宗像)

http://kyodosinken.com/wp-content/uploads/2010/06/teigen_2010-1.pdf

共同親権運動の歩み

2020年7月5日 宗像 充(共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会)

1 どうして引き離し問題の市民運動をはじめた?

(1)きっかけ

・非婚の父、同居親を経て2007年人身保護請求で子どもと引き離される。「我が子に会いたい親の会」に出席

・それ以前の別居親団体(2000年くらいから活動)…Father’s Website、面接交流ネット、離婚後の子どもを守る会、立法活動のための議員ロビーが中心➡「試しに陳情出してみるか」

(2)実際の動き

2008.3.17 調停申し立てとともに国立市議会に法改正の陳情、立川記者クラブで記者会見

      3.20  須田圭吾(「DV冤罪」)、佐藤文明(戸籍の問題)を講師に「くにたち子どもとの交流を求める親の会」国立で集会「なぜ会えないの?離婚後の親子」

      7.13  親子の面会交流を実現する全国ネットワーク設立(6団体参加)

2 立法活動の経過とその論点

(1)民法766条、819条改正運動

2008.2 面接交渉連絡協議会発足(ウィンクとファーザーズ)、面会方法の研究

(2)民法学者による民法改正案

「ジュリスト」(2006.12.15号)「特別座談会 家族法の改正に向けて(下)」と「水野・条文素案」…共同親権と親権調整規定(親権行使の態様)、母の同意による認知の子の共同親権、祖父母の面会交流/「ジュリスト」(2009.9.1号)「家族法改正―婚姻・親子法を中心に」(「民法改正委員会家族法作業部会」婚姻法・離婚法の取りまとめは大村敦志)

(3)棚瀬法案(2010.4.8第3d案)

 両親による養育の権利と責任、養育計画義務化と相当な面会交流、フレンドリーペアレントルール、暫定監護命令、連れ去り別居の義務化、面会妨害の排除

(4)弁護士会の議論

・家事法制委員会の取り組み 

2002.10.19シンポ「家庭裁判所に何を期待するか―その現状と課題」

2007 日弁連離婚後の子どもの親権及び監護に関する比較法的研究会

『子どもの福祉と共同親権』発行

2010.3後藤富士子民法改正私案

……818、819条からの単独親権削除と「親の固有の権利」

(5)実際の法改正

2011 民法766条(面会交流と養育費の文言追加)、翌年施行

2014. ハーグ条約締約国に

3 市民運動の思想と展開

(1)共同親権運動ネットワーク(2009年発足)

・「原則交流・実質平等(共同養育)」を掲げ人権問題(市民権運動)として親権問題に取り組む。「共同親権は平等親権」「共同親権導入」ではなく「単独親権撤廃」

・圧力団体・組合モデル

・メンズリブ・男性運動との出会い……男女平等の問題として取り組む、フェミニズムでも家制度でもなく

2010「共同親権・共同養育への提言」……基本的に以後の活動はやる人が変わっただけでその焼き直し

(2)「親子断絶防止法」が失敗したわけ

 ・当事者に政策立案能力なし(過去の議論を勉強してない)=議員と官僚任せの立法活動 

 ・「単独親権撤廃」を打ち出せなかった

……「会えればいいのか」と見られ優先順位は低い

 ・密室で議論を進めたので世論がついてこず、手打ちをした

(3)共同親権訴訟提訴(2019年)

・2019年 法務大臣が外圧に耐えかねて「検討」を表明

・「単独親権撤廃」と「親の権利の固有性」を社会に問う。立法プロセスに当事者の声を反映

(4)今後への示唆

 ①過去の立法活動とその議論を踏まえる。議員を使え「何とかしてください」はダメ

 ②「マスコミは水物」

……流行りが去れば関心を失う。「受け入れられるかどうか」が問題ではない

 ③「顔出さない」当事者が「顔出し」当事者の足を引っ張ってきた12年間