共同親権訴訟を進める会、民法改正への声明

 本日(5月17日)、親権制度に関する改正民法が成立しました。

この法律はこれまで、非婚(離婚・未婚)時には親権者を父母どちらかの一方に定めなければならないとした民法を転換するものです。一方私たちは、本法案が3月8日に国会に上程されるにあたり、法案が婚姻制度を維持するために、「婚姻外の差別的取り扱い」を温存するその狙いを指摘し、反対しました。しかし、国会における法案審議の中で、本法案における婚姻内外の格差の是正は主要なテーマとなることはありませんでした。

 憲法13条により担保される親の権利(養育権)が、「婚姻外の差別的取り扱い」によって憲法14条における平等権を損なっているという、私たちの養育権侵害訴訟(共同親権訴訟)の訴えを無視するかのような法改正に私たちは賛成できません。父母双方の同意が得られなければ親権を手放し、結果的に養育を放棄することも可能とする、婚姻外の差別的取り扱いは、非婚の子(未婚、離婚問わず)が父母双方の養育を受ける権利を損なうという面で婚外子差別です。犠牲を強いながら、親の私たちが「子どものため」とうそぶくことを「進歩」とは呼べません。本法改正は違憲立法です。

 一方国会審議における山口亮子参考人による陳述は、本法案で単独監護権が指定され、その中に居所指定権が含まれていることが、親が子と過ごす機会を損なうものであると述べています。山口氏の意見は本訴訟においても最高裁判所に提出され、旧法の単独親権制度が違憲であるとの私たちの訴えを裏付けるとともに、改正民法に残る差別をあらためて指摘しました。

これらの各点は改正民法ではなく、私たちが2022年8月に発表した大鹿民法草案に反映されていたものです。法改正によって実現すべきは、日本国憲法が保障する「男女平等」と「個人の尊重」の理念でした。

 改正民法における違憲部分の立法を無効とし、数限りない親子を生き別れにしてきた司法の専横をやめさせるため、私たちは最高裁が違憲判断を出し、司法当局が親子関係を損なわれたすべての親子に謝罪と償いすることを引き続き求めます。

(2024.5.17共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会)