【犬神家の民法改正】レポート

2023年11月25日(土)
会場:諏訪市・駅前交流テラス すわッチャオ

13時45分
主催者挨拶。
映画『犬神家の一族』の舞台とされる諏訪湖では、私たち共同親権運動の自助グループ「諏訪の会」が行われていました。
諏訪湖が舞台とされる『犬神家の一族』は日本の家族を描き出していて、別居親が直面している単独親権の問題と繋がっているのでは?と感じたので、
私たちは実行委員会を立ち上げ、諏訪で映画の上映会とトークショーを企画しました。
小説『犬神家の一族』の原作者横溝正史は30代の頃、療養でこの上諏訪に数年間暮らし、『犬神家の一族』の着想を得たと言われています。
本日ご来場の皆さまは、地元諏訪の方、長野県内の方、東京や愛知県、遠方からもお越しくださっています。ありがとうございます。
犬神家の地元の諏訪で映画を観て、共同親権のこと、民法改正の議論が出来ればと思います。
諏訪湖に隣接する3つの自治体、諏訪市・下諏訪町・岡谷市に対して【犬神家の民法改正】の行事の後援申請をしましたが、拒否されました。
理由は、「民法改正については、裁判所や国会において、判断、決定されるもので、(略)市の施策の推進に寄与する行事に該当しないと判断するため」。
あまりにも主体性のない自治体の回答に唖然とします。憲法の地方自治が失敗に終わっていることがよくわかります。ちなみに裁判所は民法改正を判断しません。
というわけで民法改正の主役は私たちです。犬神家の相続争いから見えてくる日本の民法の成り立ちから学び議論しましょう。

不思議な偶然なのだが、会場の隣の会議室では、後援申請を拒否した諏訪市の市長が登壇する催しが開催されていた。
諏訪湖は何かが交差する水場というか、人の交差点(?)のような場所なのでは?と感じるエピソードとなった。

14時
「第一部(無料)上映会」開始。


映画『犬神家の一族』本編2時間25分。原作:横溝正史(角川文庫版) 製作:1976年 監督:市川崑 角川映画。

会議室の大きなスクリーンで、皆で映画を鑑賞する。日本の家族を描く傑作である。
映画のサウンドトラックの音量が大き過ぎて、隣の会議室への音漏れが激しく、開始早々ボリュームを絞るという一幕もあった・・・。

KADOKAWAが2週間限定でユーチューブで映画『犬神家の一族』の無料配信をしたのは、
【犬神家の民法改正】実行委員会が諏訪湖での無料上映会を申し込んだからかもしれない。
いや、きっとそうだ・・・・と、実行委員会は感じでいる。

16時25分
「第一部(無料)上映会」終了。

休憩

16時30分
「第二部(有料)講演&トークショー」受付開始。

16時45分 
遠藤正敬さん講演
『犬神家の戸籍』の著者で、早稲田大学等非常勤講師である遠藤さんは「犬神家の民法改正」用のレジュメ資料を使って講演。
1、「犬神家」とは誰か?
2、作品の舞台はいつか?-家族をめぐる法秩序の転換期
3、犬神佐兵衛の戸籍-孤児に始まり、家長に終わる
4、婚外子たちの運命-戸籍と血縁の不一致
5、婿養子たちの腹づもり-小糠三合もなく?
戸籍資料として明治31年戸籍の謄本サンプルのビジュアル資料も使いながら、犬神家の家族関係を戸籍という観点から紐解いて解説。
遠藤さんは政治学の博士であり専門の日本政治史から、明治民法下の犬神家、新民法下の犬神家、その狭間の戦後の混乱期の家制度を説明。
『犬神家の一族』の面白さを遠藤さんはこう表現する。
「日本人は自然と「家」や「血」を価値あるものとしてあがめる国民性が強い。
それゆえに「家」と「血」なるものが孕む矛盾、軋轢、不条理を、人間をどこまでも翻弄する「魔力」として最大限に利用したサスペンス」
講演を聴いていて、遠藤さんが横溝正史の原作と1976年版映画を、作品としてリスペクトしている事を感じた。
作品を敬愛しているからこそ、日本政治史の視点から、作品の時代設定に対する「突っ込み」を忘れない。
明治民法という家制度が、私たちとどう関係しているのかが分かる講演だった。

トーク

『共同親権』著者で新刊『結婚がヤバい』の著者でもある宗像充さんが、遠藤さんに質問するスタイルで、宗像さんと遠藤さんのトークショー開始。
宗像さん「遠藤さんが戸籍を研究されるきっかけは何なのでしょうか?」
遠藤さん「幼少期に上野で見た傷痍軍人の姿や大島渚のドキュメンタリー作品『忘れられた皇軍』を観て、国籍と戸籍の関係を調べるようになったのがきっかけです」
宗像さんは婚外子の事や、財産やお金が作品のテーマになっている事を説明し、1947年の応急措置法下の共同親権についても解説。
現在求められる民法改正の話しや、子供と引き離された当事者として結婚のヤバさも話されていた。
明治民法下の親権について宗像さんは遠藤さんにトークを投げかけ、
「明治民法では戸主が親権を持ち、親権は戸主の独裁です」というフレーズが耳に残った。

トークショーの流れのまま、参加者の質疑応答&感想へマイクが移動していく。
参加者の言葉。
「遠藤さんの講演で「日本国民は一つの家に属し、一つの氏をもち、一つの戸籍に入るという【一家一氏一籍】の原則」が非常に印象的」
「映画の最後のシーンで駅名が「那須駅」になっていた。「諏訪」ではなかった・・・」
「戸籍や天皇の話になるとタブーであるという空気になる」
「マイナンバーで国民管理が出来るのに、戸籍を残している意味」
「戸籍意識という潜在意識のような無意識の世界に戸籍があるのでは」
「住民票と戸籍の関係」
「私的自治と戸籍の関係性」
「映画の最後に犬神松子が「私にはこの道しかなかったんです」と言う。このセリフは単独親権の持つ選択肢の無さを表わしている」
その他、多くの質問や感想が寄せられた。

18時30分
「第二部(有料)講演&トークショー」終了。
実行委員会と参加者の皆さんで会議室の現状回復セッティングを行う。

19時
懇親会は駅前の魚民で開催。
(乾杯の後、映画のヒロイン野々宮珠世が島田陽子であり、キャストとして横溝正史も角川春樹も出演していたことが話題になった)

【犬神家の民法改正】の趣旨にご賛同いただき、ご協賛いただいた団体の皆様に感謝します。
ご協賛いただいた団体名を記載します。
・共同親権運動 国家賠償請求訴訟を進める会
・特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト
・子育て改革のための共同親権プロジェクト
・大鹿の十年先を変える会
・大鹿家族相談
・親共育サロンCoそだて
・親子ネットNAGANO
順不同

【犬神家の民法改正】実行委員会 (島津)