共同親権訴訟判決プレ集会「民法改正 もう止まらない!」リポート

東京地裁判決が出る少し前の6月4日午後、国立市のスペースコウヨウ地下1階会議室にて、13時30分から14時15分は「共同親権運動・国家賠償を進める会」の総会が、休憩を挟んで、14時30分から16時30分は6月22日判決のプレ集会が開催されました。

Ⅰ.「共同親権運動・国家賠償を進める会」の総会

事務局の宗像さんから2022年度の活動報告として、裁判の進行状況、デモ・インターネット・メディア等による啓発活動、大鹿民法草案を公表し意見書・申入れ書・国等への働きかけ、会報発行等の会務、セミナー・自助グループ・相談等の支援活動について報告が行われました。前年度から引き続き裁判の日に院内集会を行い、毎月のお茶の水学習集会で法制審議会の議事録を読み込んで、国などへ働きかけをしてきました。2023年度の活動予定としては、一審判決の持つ意味は大きく内実を見極め今後の控訴審や法改正論に生かすこと、国側への働きかけや世論形成を行なうことなどについて説明が行われました。次に、会計報告があり賛成多数で承認された。

続いて、院内集会で会場を借りる等でお世話になっている、立憲民主党の末松義規衆議院議員から、「引続き側面から援助をしていく、判決でいい結果が出ればそれだけ展望も開ける」とご挨拶があました。

Ⅱ.共同親権訴訟判決プレ集会

宗像さんからの「6月22日に判決を迎える。ぜひ足を運んでいただきたい。政権与党はやらなきゃいけない課題と認識している。裁判の結果によっては民法改正に大きな影響を与える。ぜひ裁判には勝っていきたい。」という挨拶で、プレ集会が始まりました。

1.古賀礼子弁護士(共同親権訴訟弁護団)から、どういう論点でこれまで進めてきたのかの報告がありました。令和元年11月に提訴し、途中コロナ禍で期日が取り消しになるなど進行が遅れたが、書面のやりとりなどで議論を深めてきました。親の養育権は基本的人権であること、自然権であり幸福追求権であることは明らかであること、単独親権制度は違憲であることを主張しました。民法818条第3項の「父母の婚姻中は、」の規定は、婚姻中と非婚を不当に差別するとして憲法13条違反14条違反、子どもの権利条約にも違反する等として進めてきました。

2.村松直人さん(子育て改革のための共同親権プロジェクト発起人)から、「どうなってるの?法制審議会」と題した報告がありました。4から5月にかけての新聞各紙では共同親権が間近いような報道がされましたが、法制審議会の3月の検討では有った共同親権への方向・親権と養子縁組が6月では消えており、今国会中は、本日時点で未だ要綱案の審議がされていないので、厳しいと思われます。我々は大鹿法案で基本的に何ができるかを提示してきたが、それらが審議会で何も生かされず、有るのは金カネの話です。

質疑応答で、参加者から次のような話が出ました。審議会の参考人にDV被害女性が出てきて、家裁に関するもので親権に関係ない話に多大の時間を取っていた。また、審議会では、いつまで経ってもズルズルと議論がされていて、中核に迫らない。当事者のガス抜きでは、法制審の委員には状況がわかっていない。

3.宗像さんから「憲法学者の訴訟妨害 木村草太の母性神話と復古主義」について報告がありました。木村草太氏は、共同親権は家族のあり方を強制するという理屈を立ており、対して我々は単独親権が家制度を強制するとしています。彼の心理は弱い女の人の味方をすればかっこいい、性役割での男に自己陶酔しています。彼には、現行の司法判断は問題ない、問題を起こすのは別居親達だというヘイトが入っています。母性神話として、母親が単独親権のスタンダードで、大多数の母親が親権を取って子どもの面倒を見るのはいいことだ、育児は女性が主体で、女性は保護の対象だと一貫しています。家制度を妥協して戦後の民法改革を中途半端にしたのが我妻栄の民法改革であったのですが、理屈に関わりなく我妻先生が正しいというのが彼の言い方です。 

  会場の女性からは、彼は女性の味方をするキモイおじさんということでした。

4.重松朋宏さん(元国立市議)からご挨拶がありました。民法改正を求める運動は2008年に国立市議会が国に意見書を送ったことをきっかけに広がりました。地方議員は共同親権に賛成する人と反対する人の両極端がいますが、両方から距離を置こうという人も多いです。当事者の苦労を見ていて、共同親権にしない方がかえって複雑にしてトラブルになっています。自然権は腑に落ちました、と同時に子に対する責任です。

5.アピール

1)森めぐみさん(NPOアートで社会問題を解決する会キミト代表)から。ツイッターで子を連れ去られて自殺をした人がいっぱいいることを知り、自殺をなくしたいと勉強していた学生時代を思い出しました。赤石、駒崎の動きに自分達の私利私欲ではないかと憤り、活動団体をつくりました。自分が小さいときに、愛は地球を救うという番組で黒柳徹子さんがきれいな格好をして骨と皮だけの赤ちゃんを抱っこし、この子達は美味しいものを食べられないのですと言うのを見て、自分は三日間食事も通らなかったそういう子どもでした。共同親権をやっていてその頃の自分を思い出します。

2)長田政江さん(息子さんが当事者)から。2008年頃に、息子さんと宗像さんが同年代なのでかかわるようになり、現在は孫が20歳になりました。月1回の面会交流ができていて、大学受験のときは息子と孫と元嫁の3人で大学を決めることができました。夫婦間の関係と親子の関係は別です。単独親権は家制度が根底にあり、それが戦後の民主主義でも続きました。子どもの権利条約にも共同親権の記載が有ります。この運動に敬意を表します。頑張ってください。

3)島津友彦さんから戸籍の話がありました。調停をやっていてなぜ子どもに会えないのかと実体験をしていく中で、戸籍制度は明治民法・帝国憲法より前の明治5年にすでにできていて、それが力を持って今も生きていると感じました。何冊か本を読んでいて、「犬神家の戸籍(遠藤正敬著)」という本は、犬神家の一族の血で血を洗う事件は戸籍に関連しています。他に戸籍に関する本として、「天皇の戸籍(遠藤正敬著)」とか、「日本の家族と戸籍(下夷美幸著)」という本では戦後の民法改革のGHQとのやりとりの中で戸籍の話が出てきます。戦前は3代戸籍、戦後は2代戸籍で、家制度は今も温存されています。

4)脱原発活動をしている木崎さんから、当事者ではないが傍から見ていて、男女平等に向けているのに、左翼の人が共同親権反対、右翼の人たちは賛成、わけがわからない、疑問を感じているとお話がありました。

このことについて会場の大山さんから、自民党/日本会議等に対して、共産党/赤石さん/シングルマザー団体がある。共同親権が他の主張、たとえば憲法改正派/護憲派とかと抱き合わせにされることがよくない。我々は子どもとの関係を問題にしているのであって、右だ左だとかこれら政治の道具として一緒にさせられない様に活動していった方がよい、という意見がありました。

6.最後に原告アピールがあり、本日の集会は終了しました。(染木)