9・22院内集会「異議あり!官制民法」レポート

参加者は40人程度でした。

【太  栄志衆議院議員(立憲民主党)の発言】

共同親権の問題は、日本の国際社会のスタンダードからの遅れを示す、シンボル的な問題であり、政治主導で取り組んでいくべき、同時に超党派で取り組んでいくべき問題であるので、全力で実現に向けて取り組んでいきたい。

【進行・宗像充より挨拶】

法制審中間試案の発表の繰り延べは、我々の意見を政治に効果的に反映させる機会である。

【共同親権訴訟代理人(稲坂・古賀各弁護士)よりの報告】

今回で9回目の期日。次回から証人尋問に入る。原告の6名に加えて、中央大学の鈴木博人教授、北九州大学の濱野健教授、在外フランス人議会議員のティエリー・コンシニ氏の3名が専門証人。

法制審では監護者指定にウェイトを置き、監護権を親権より独立させて父母のどちらかを指定せねばならないという議論がある。

これは人権論で扱われるべきテーマが、立法論にすり替えられており、本訴訟は、実際に人権を侵害されている人がいる以上、その侵害に対する違憲性を確認するための裁判である。

【進行・宗像充より】

法制審が設定するアジェンダに、我々が同意する必要はない。法制審は、現状の法を改革する目的で進行しているが、我々は「問題を解決したい」のだ。

【嘉田由紀子参議院議員(国民民主党参議院会派)の発言】

法制審の中間試案だが、判明している限りではわかりにくく、その内容は、単独親権を維持し、連れ去りなどを合法化しようとするいわば爆弾が入っている。

「民間法制審案」は明快で、自民党も民間法制審案の「共同親権は共同看護を含む」という方向で動くようだ。

大切なのは、問題を解決することだ。そのためには離婚しても両親が共同で養育できる実態を作っていくこと。その点を法制化できるよう、当事者の皆さんも案を出して頂きたい。

【宮沢博行衆議院議員(自民党)の発言】

自民党の中にも、共同養育を推進しようとする議員はいる。

論点は3つ。

1)共同親権か単独親権か

2)養育費

3)面会交流

皆さんは3)を重視されていると思う。面会交流によって起こりうるDVやストーカー問題など司法的な問題をどう具体的にどうするか、裁判所や警察の動向に焦点を当てて考えたい。私は、DVやストーキングなど差し迫った危険がある場合は、やむを得ず単独親権を選択しても良いとの考えだ。皆さんの青写真を知りたいし、意見交換をしていきたい。

【梅村みずほ参議院議員(日本維新の会)の発言】

法制審議会の中間答申がずれ込み、タイムスケジュールの遅れが心配である。

まずは、子供の権利が最も重要視されなければならない。子供が我慢しないで、親に会える状況を作りたい。

法務委員になったので、自分のできるあらゆる方向からアプローチしていきたい。

【婚姻中共同親権欠陥制度国賠訴訟代理人(松野恵理子弁護士)よりの報告】

本日、高裁で結審した。

この訴訟は、婚姻中であっても共同親権が機能していない事実を訴えたもの。

子供を原告にしてもらえなかった。共同親権下では、両親が法定代理人にならなければならず、それが分裂した場合は動態不全となる。

「ゆりかご権」という成長権に相似した概念を提示して争ったが、理解されなかった。

【江東区警視庁DV保護違法訴訟代理人(岩本弁護士)からの報告】

この裁判で不思議に思うのは、国賠訴訟までして子供と会えないこの国の異常さだ。

事件の発端は、原告の奥さんが警察と行政を利用してDVを訴え、シェルターに入ったところから。紆余曲折があり3年ほど経過しているが原告は子供と一切会えない。奥さんは陳述書に「私は原告を父と認めていないので、一生子供を合わせない」と宣言している。にも関わらず、東京家裁の滝川裁判官は奥さんを監護者として認める裁定を下している。家裁がきちんと機能していれば、3年も会えないなどということは起きない。最初の連れ去りに関しても「行政の決定だからなんとなくDVはあったのではないか」という空気感に支配されている。

皆さんのような方が私にも相談に見えるが、効果的な処方箋を書くことができずに忸怩たるものがある。それでも少しでも皆さん方のお役に立ちたいと思い、この仕事を続けている次第である。

【「離婚や別居に伴う「別居親」の実態調査」についての解説と報告】

【一橋大学名誉教授・福田雅章氏の発言】

「父母の離婚に際して子供の意見の尊重をどのようにすべきか」。この問題の中心的な課題は「子供の意見をどの程度までに反映させるのか、どの程度までに実体的な価値を与えるか」という点にある。

結論を言うと、そのようなものは与える必要は一切ない。「子供の利益」を錦の御旗にして、実は特定の利益集団、あるいは同居親の利益のみが圧倒的に重視されているのが現状である。

子供の権利を社会や国や親が決定し強制しても意味がない。子供が主体的に行使できる権利でなくては「権利」の構成概念に妥当しない。外部が決定したルールを守ることは権利ではない。

大きな誤解があるが、子供は近代における基本的人権概念の主体では絶対にあり得ない。理性が未発達だからである。子供の権利を言う人は、子供を支配する道具としてその概念を使っている。子供の発言の中に「子供の真意」を把握するなどは、傲慢かつ笑止である。法制審の議論では、意見の他にも見解・思想・意向・気持などがあるとされるが、誤魔化だ。破壊的、刹那的、反社会的な行動もまた意見であるのに、これはすっぽり抜けている。

子供にどちらか一方の親を選択させるような過酷なことをしてはならないとあるが、これも間違い。子供の意見をあたかも尊重するように擬態するのは、パフォーマンスにすぎない。

意見表明権とは、意見の内容に価値があるのではなく、「ねえねえ」という呼びかけや「クソババア」という罵倒、万引きをするなどの行動に内包されている、つまり「関心を持て・応答しろ」との力動的な表明である。子供が成長するために不可欠な、欲求の表明なのである。親はその欲求に対して、受容的・応答的な関係を作ることが重要。(子供が)自己肯定感と基本的信頼感と共感能力を得られるまできちんと抱えることが大人の義務になる。以上が意見表明権の本質である。

例えば子供が面会交流を拒否する、これは意見表明であるが、自己決定権でもなんでもない。現在、子供が(周囲の状況に)困惑してそう喋っているだけだ。「なぜ会いたくないの?」ときちんと解きほぐして、探り、一緒に考えていくこと、これが意見表明権の尊重である。

DVをする親は親でないなどというが、それもとんでもないこと。具体的に身体や生命や精神に対する危険があったり、その防御策を取れない場合は全く別だが、原則として会わせるべきである。それは「親だから」である。

また、アドボケイドなども出鱈目だ。弁護士等がノコノコ出て行って、本心など言わない。子供は同居親の顔色を見て忖度している。そんなものを裁判の決定要因として使うなど、もってのほかである。間違った裁判上の決定を引き起こす元になってしまう。

【石井敏宏・館山市議会議員の発言】

4年前に、当事者さんが親子断絶防止の法整備を求める意見書を国会に提出するよう館山市議会に陳情され、この問題を知った。

地方政治として何をやれるか。

1)兵庫県明石市のような取り組みは、人口5万程度の自治体だと難しい

2)「面会交流支援」と「養育費支援」をすると、面会交流には強制力がないので養育費だけ突出して成果が出てしまう

3)学校での別居親排除をやめさせたい

こうしたことを中心に取り組んでいきたい。

【共同親権youtuber・まろーん4世氏の発言】

自分のチャンネルは共同親権専門で、3年ほど続けている。

自分の状況は、連れ去り後、5年間も完全断絶している。

チャンネルのゲストのお話を紹介すると、女性当事者の方で、生みの親であるにも関わらず、買い物に行った隙に連れ去られる等の実例があり驚いている。男性側にも「離婚して親権争いに負けると子供に会えなくなる」知識が普及している証拠だ。

5年前に続いて法案(中間試案)の発表が延期されたが、当事者の方がどんな思いでその状況を見ているかと思うと本当に辛い。

なぜ、延期されたのかを考えると、周知が圧倒的に足りない。勤務先の同僚などに話しても、共同親権に反対・賛成以前に問題の存在を知らない。この状況では、パブリック・コメントの時期が来ても、また延びてしまうのではないか。そうならないためにも、自分はYouTubeを使って周知活動をしている。動画はこちら。

【原告団よりアピール】

本日の裁判・院内集会への参加を感謝したい。我々、当事者の声を直に裁判官へ届ける機会としての証人尋問に、原告6人が証人として認められた。

我々の訴訟は端的に言えば、国の立法不作為を認めさせると同時に、民法の改廃を求めるものである。法を変えるには、当事者であったり、子を思う全ての一般民衆の熱意と情念の総量の重さに尽きる。

本日、ここに結集された皆さんの中に子を思わない人はいないであろう。今後も皆さんと共に、その想いを裁判官と法務省に訴訟を通じて届けていく。一層の支援をお願いする。