質問状

2022年9月7日

テレビ朝日代表取締役社長 篠塚浩 様

長野県下伊那郡大鹿村大河原2208
共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会
TEL/FAX 0265-39-2116

担当 宗像 充

お世話になります。

当会は単独親権制度の違憲性を訴えての集団訴訟を2019年に提起しております。

貴社が、8月30日に放送した報道ステーションの番組「『会いたい』『DVにつながる』離婚後の“共同親権”議論先送り推進派と慎重派の主張」の中で、当会の提訴時の映像も使われ、原告の顔写真が紹介された後に、番組では、共同親権についての賛否について両論を紹介するという形で双方の主張を紹介しています。

この中で、反対論(番組では「慎重派」)の主張の中に、DVに関する懸念が紹介されていますが、あたかも子どもと会えない親がDVの加害者であるかのように印象付ける編集がなされており、当会としてはそのような恣意的な編集を見過ごすことができません。

特に以下の解説は、報道の公正さの観点から重大な問題がある可能性があり、指摘するとともに質問させていただきます。

番組中、「ある調査によりますと、共同親権が導入されても選択しないと答えたひとり親は7割近くいたといいます。その背景として最も多かった回答は、配偶者からのDV被害だったといいます。」という解説があります。ひとり親団体の7割がDV被害者だとの調査結果は、2022年6~7月に実施された、「離婚後の子どもの養育についてのアンケート」が見当たりますが、もしこのアンケートを引用してのものであるなら、実はそのアンケートが「慎重派」意見の母体となる団体によるものであることを明白にすべきです。アンケート実施団体を明白にせず、偏向のあるアンケート結果を使用し、恣意的に視聴者をミスリードすることは報道機関として許される行為ではありません。

番組中、反対論として登場する赤石千衣子氏は、「認定NPOしんぐるまざぁずふぉーらむ」理事長であり、法制審議会家族法部会の委員です。アンケートの実施者は「認定NPOしんぐるまざぁずふぉーらむ」が事務局の「シングルマザーサポート団体全国協議会」です。

当事者団体の内部調査を報道すること自体を否定するわけではありませんが、この場合、調査の実施主体がコメンテーターの一人であるなら、両論併記の主張の一方の主張を客観的に裏付けるためにこのデータを引用することは、当事者の自作自演を客観的データとして捏造した、と言われても仕方ありません。こうした番組の制作姿勢は、偏向報道の温床となる危険性なしとはしません。

特にこの映像原稿の編集テクニックとして、映像で紹介された当団体の訴訟や共同親権の賛成側で登場した男性を、DV加害者として印象付けるために、映像とシンクロさせる形で不正なデータの提示を行ったという謗りを免れません。

これ等のことにつき、

1)報道機関として、充分な公平性を担保する努力を惜しまない取材活動と映像編集を実施したのか

2)単独親権制度の維持が妥当であるという「結論ありき」の番組制作ではなかったのか

について回答を求めます。

念のため申しておくと、私どもの集団訴訟の国側の反論に、DVを理由とするものは一切出ておりません。当団体が協力した実態調査においても、別居親の7割がDV被害を受けたと述べており、こういった点について調査主体団体とともに8月8日には司法記者クラブで記者会見も開いています。これらをあえて無視して、結果ありきの恣意的なデータ使用があるとしたら、それは報道機関として許されざることにほかならず、言うまでもなく訴訟妨害です。

まして、法制審議会委員が主体となって実施したアンケート調査を、賛否双方の主張の一方の根拠づけに客観的データと装って紹介すれば、それは中立の法制審議会への報道機関による恣意的な介入と言われても仕方ありません。

回答は9月16日まで、書面にて上記住所にお願いします。

以上