11月25日口頭弁論報告、第3準備書面

口頭弁論に先立ち、第3準備書面を提出しています。

古賀礼子弁護士によるレポート

今回は、憲法13条に関して、原告の主張をまとめたものである、という確認を踏まえ、次回は、憲法14条に関しても、同様にまとめてほしいという指示であり、以前の事務連絡と同様に、憲法14条に関しても、裁判所の示す枠組みに沿って主張を整理してほしいというお願いとなりました。今回、口頭でも説明があったものの、長いのもあって、追って裁判所より再度の事務連絡という形で、書面による指示もあるとのことでした(令和3年12月3日頃までの予定)。憲法14条との関係としましては、何と何を対比することを問題にしているのか、訴状によれば、婚姻中は共同親権だが、非婚は単独親権となっていること、その区別をもたらしているのが民法818条3項ということのように裁判所は受け止めているが、それでよいか、といったやりとりとなりました(訴状31頁4(1)第2段落)。

それに加えて、非婚の父母の一方が必ず親権を奪われた状態にあるのに対し、婚姻中の父母の親権は、極めて厳格な要件と手続保障に保護されているという区別については、親権喪失・停止に関する民法834条・834条の2の規律について含まれているのではないか、それらの点について主張を整理するようにという指示となりました。憲法13条に関して整理したように、今回も、非婚については、未婚と、一度婚姻したことがあるがその後離婚したケースとを区別するようにという指示もありました。

さらに、差別の内容として、親権という親子の基本的関係にかかわる重大な権利を区別していることと、養育権(憲法上の権利の意義)についても区別していること、それぞれ指摘している点についても、さらに整理するようにという指示もあり、この共同親権訴訟においては、民法の親権と憲法上の保護に値する権利・利益として理解している養育権について、別のものとして考えていることを、裁判所も読み取ってくれていることが伝わってきました。総じて、裁判所が訴状はじめ、原告の書面をよく読んでくれていることが感じられます。憲法14条に関する書面作成にあたっての指示の詳細は、事務連絡があるようですので、改めて確認して用意してまいります。

最後に、憲法13条も含め、違憲状態にあるというのが原告の主張であり、この違憲状態を是正しない立法不作為についての違法が損害賠償請求の根拠としているところ、原告が理解する単独親権制を前提に、解決の仕組みを欠いている点について、いかなる規律をして、どこの規定を削除すべきかという点について具体的に対象を特定することも指示されました。

原告代理人としても、基本的には立法裁量があることを理解しているので、特定の制度(共同親権制と呼ばれるもの)の立案だけでは、その制度の導入を決めるのは立法府の裁量の範囲内で終わってしまいかねません(違法ではないという扱い)。それにしても、現行制度の違憲状態を放置してよいことにはならないため、これまで慎重に主張を研ぎ澄ませてまいりました。かといって、問題を解決する方法論もある程度は示して欲しいというのが裁判所の願いのように受け止め、バランスに配慮しながら、この点についても検討してまいります。

各論点をひとつひとつまとめていく段階にありますが、立法不作為の対象についても議論しようというところまで進行しているのは、興味深い流れにあると感じています。進行に関して積極的に指示をする裁判所について、肯定的に受け止めてよいのではないか、出席された原告の方々とも共有した次第です。


油断することなく、続けて尽力してまいります。

次回も原告の準備のターンとなり、裁判所としても、準備にあたって余裕をもってよいという認識で、令和4年2月17日14時から、同じく806号法廷にて行うこととなりました。原告は、その2週間前の2月3日までに書面を提出することになっています。

今後ともよろしくお願いいたします。(古賀礼子2021.12.02)

次回期日

2022年2月17日14時~ 東京地裁806号法廷