第5回口頭弁論レポート・国(被告)側準備書面公開

9月14日13時30分の期日でしたが、すでに、傍聴のために行列ができていました。


代理人や、原告の方々は先に入室して、受付などして、バーの内側には3名の原告席しかなかったので、5名の方は、傍聴席に着席いただきました。
行列に並んでいた方も後方は満席のため傍聴できなかったようです。それだけ関心が高まっていることがよくわかる状況になりました。
時間通り裁判官もやってきて開廷です。この期日間に、原告が提出した「回答」と被告の第4準備書面をそれぞれ陳述いたしました。
原告の「回答」というのは、令和3年7月19日付の裁判所からの事務連絡に回答するものでしたので、裁判長から「感謝」という表現がありました。
被告の第4準備書面は、ほぼ、令和3年5月13日付の裁判所からの事務連絡に回答するものだった、という確認を踏まえ、次は原告が反論していくことになることを確認しながら進行していきます。

このまま、その流れで、期日調整に入るのかと思いきや、原告の反論にあたっての確認として、裁判長から細かい指示が始まります。
一般民事事件においても珍しいことと感じますが、裁判所において、当事者双方の主張に丁寧に向き合っていることが伝わる積極的な訴訟指揮のように受け止められます。整理して書面を用意して欲しいということで、大枠として、養育権を侵害する規定が民法に存在し、憲法13条に違反するとの主張について、次の点について確認したいという指示でした。非婚時の単独親権、婚姻時の共同親権を規定する根拠条文について、被告の第4準備書面において指摘されたので、これを踏まえ、令和3年5月13日付事務連絡第1項記載の場合分けに即して、①婚姻している父母の場合、②非婚の場合(未婚、一度婚姻したが離婚した場合)について、それぞれのケースで養育権が侵害されている点についての主張の整理、また、立法目的、その合理性を基礎づける根拠及び、当該立法目的に関連して単独親権・共同親権を定める規定が合理性を有することになる根拠について、被告が主張していることに対し、この枠組に即して、原告の主張を整理して欲しいというものでした。
憲法13条違反に関する主張をまず整理してほしく、憲法14条違反について主張している点については、次回期日に同様に指示する、ということも予定しているとのことでした。
ベースは、令和3年5月13日付事務連絡記載の枠組みに即していくというものになります。
元々、代理人としても次は原告の反論ターンだという心構えはあったものの、まずは憲法13条違反の主張の整理、そして、次回以降憲法14条違反の主張も追加していくことを見通した訴訟指揮についてはありがたく思います。
原告としても、裁判所からの事務連絡に向き合って十分に回答いただいた被告に感謝を伝えつつ、確認したい点について意見を述べました。第3準備書面において、記載のあった「婚姻制度の意義」という表現が消失し、「両性の本質的平等」という表現があったことについて、その関係性について確認すると、被告国の指定代理人の口頭での回答としては慎重な姿勢で、必要があれば書面で正式に、と留保しつつ、とにかく、第4準備書面において、被告の意見が集約されている、という点を確認いたしました。
そういうやりとりを経て、原告側の準備として、研究者の意見書提出スケジュールを考慮の上、結局、次回期日は、11月25日(木)14時~806号法廷となりました。
昨年末より提示していた原告からの求釈明に対し、被告がようやく回答を終え(3月、6月も回答がありましたが、不足していることを指摘してきていました。)、原告側の準備になっていきます。すでに意見書の作成など進めていることもありますが、11月18日までの提出に向けて準備してまいります。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。(2021.9.16 古賀礼子弁護士)

原告の宗像のレポートは以下