申し入れ書

内閣総理大臣 菅義偉 様

2021年7月17日

長野県下伊那郡大鹿村大河原2208
共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会(担当 宗像 充)

 お世話になります。私たちは、子どもと引き離された経験のある親たちを中心に、婚姻外で単独親権を強制させる現状を改善し、婚姻中と同等の法的権利を求めるグループです。2019年来、民法の単独親権規定を温存している国の怠慢を訴え、日本国と係争しています。

 この度、フランス出身で、日本国籍の妻と結婚したヴィンセント・フィッショさんは、「日本の司法により、人質に取られている私の子ども達を解放してください」と訴え、7月10日から千駄ヶ谷の駅前でハンガーストライキを行っています。

 フィッショさんは同居中の妻から2人のお子さんを連れ去られました。フィッショさんは、ハンストを行うに至るまで、司法をはじめ、国のあらゆる機関、国際社会に自身の子どもの保護を訴えてきました。しかしながら日本国は、この訴えに対して耳を貸さず、フィッショさん親子の再会に向けての具体的な努力を放棄しています。

 上川陽子法務大臣は、7月13日の記者会見において、フィッショさんの事件について問うた記者の質問に、「個別事案ということでございまして,法務大臣としてコメントをすることについては適当ではないと考えております。」と述べつつ、「その上で一般論として申し上げるところでございますが,離婚や別居に伴う子の養育の在り方につきましては,現在法制審議会で調査審議が行われているところでございまして,法務大臣として,充実した調査審議がなされることを期待しているところでございます。」と付け加えています。

 法務大臣自身、フィッショさんの事件が、現状の法制度から生じる問題であることを認めています。そうであるなら、個別の事件についての解決を、法制度の改革への意思でもって答えるのが、法務大臣の役割ではないでしょうか。国際結婚をしたフィッショさんは、母国の保護を受けることができます。しかし、同様に国内で子どもを連れ去られて会えなくなり、母国であるはずの日本国の保護を得られないままの親子は膨大になります。「個別事案」として事を片付けることこそが、連れ去る側、連れ去られる側と双方が被害を主張して争わせる結果になり、制度の改革から目を遠ざけてきました。これは純粋に国内問題です。ことほど左様に国の法務の責任者は、当事者能力を失っています。

すでにハンストは一週間が経過し、フィッショさんの健康状態が危惧されます。フィッショさんのお子さんは3年にわたって父を奪われたままです。一刻の猶予もありません。私たちは以下を求めます。


要求項目

菅首相自身が千駄ヶ谷駅に行って、フィッショさんに対しフィッショさんのお子さんの解放を約束し、同様の事案の解決のために単独親権制度の改廃の意思を表明してください。