2月23日諏訪集会・開催報告

2021年2月23日に子育て改革のための共同親権プロジェクト・長野主催で、共同親権に向けた市民集会「共同親権―男女平等な子育てって何だ?」が行われました。20名弱の参加者であったため、パネルトークに加え、フロアとの意見交換の中では充実した意見交換がされました。

以下、概要をお伝えします。

■パネルトーク「共同親権―男女平等な子育てって何だ?」

木村かほり(茅野市議会議員)

小畑ちさほ(共同親権訴訟原告)

松村直人(子育て改革のための共同親権プロジェクト発起人)

司会 宗像充(ライター、『子どもに会いたい親のためのハンドブック著者』)

<各自トーク>

小畑

・1960年〜70年代育ち。米国における市民権運動、男女平等を目指すウーマンリブ活動を横目に見て育った。

・1985年入社の女性初の総合職。男性の職場を侵食されることを恐れたベテラン男性社員は、戦々恐々としていた。男女平等の子育ては、男性が女性の縄張りである家庭に進出することになるため、女性にとっては自分の領域を守りたい当時のベテラン男性社員の気持ちと同じなのではないか。

・元夫が在宅で仕事をしていて積極的に子育てに関わっていた。逆に、女性の私は子育てを任せてほしいとも思っていた。結果的に、教育方針が異なることから子育てから排除されてしまった。

・海外在住経験があり、日本の法制度の課題により、性的マイノリティの方々が日本を離れることもあることも知っていた。このようなことから共同親権訴訟に関わるようになった。

木村

・離婚経験があり、ステップファミリーとして子育てをしてきた。

・不登校の会、こども食堂などの市民活動を積極的にやってきた。

・離婚などにより、子どもと一緒に暮らせない親と接することで、自分が経験してきた子育ての当たり前が一体何だったのかと振り返った。

・女性として結婚し、当たり前のように母親として子育てをし、離婚の際には自分が子どもを引き取ることについて、疑問を持つこともなかった。

・不登校となった場合、無償の教育を受けることすらできない。不登校の子に対しても、学びの場を提供する必要があると思ったが、実は家庭の問題につながっている。

・長男は跡取り、父親は仕事、母親は家庭という環境で育った。母親はもっと勉強をしたい想いがあったが、女性が勉強をすることが敬遠されていた。そのようなジェンダーバイアスがかかった環境で自身が育ち、その自身に育てられた子どもたちがいる。

・ママたちの集まりの中では、社会進出を応援することもしていたが、ママたちがやることが商売になりづらいということも感じている。

・女性は、子どもを産んだらいきなり子育てができる母親になれると思われているがそんなことは無く、世間一般からものすごいプレッシャーがある。

・離婚に関わる相談を受ける中で、本当に単独親権でなければいけないのか、共同親権であることを前提として話すと違うことが起こるのではないかと感じるようになった。現状の単独親権のままだと、父母は同じテーブルの上に乗ることすらできない。

・単独親権制度の廃止によって、今困っている方を支援することが大事だと思う。

松村

・めぞん一刻世代。嫁をもらう、職業婦人、キャバレーに勤めるシングルマザーが描かれていた。

・自分自身も当時付き合った女性のことを所有物として捉えた発言をしてしまったことを振り返った。1997年に入社した総合職の女性社員が、男性ではさせられないお茶出しを上司から求められることにおかしいのではと思った。

・子育てをしはじめて、保育園や学校において男性としての疎外感を感じることがあった。小学校には、PTA活動があるにも関わらず、なぜか「オヤジの会」なる会があり、前提として男性は子育てに関わるなと言われるような環境があると思う。

・現状婚姻中の共同親権下においても、教育方針等で父母間の考え方が大きく異なるときに、何も解決する手法が無いことが困っている。

・家族看護学の話を聞いた。家族の中に何かが起こったときに、家族全体にゆらぎが生じ、一定度を超えると破綻状態になる。このゆらぎに対して家族支援をしてもらうような存在が無い。地方行政の中で家族支援のあり方を考えて行く必要があるのではないか。

・子どもは男女からしか産まれないという大前提からすると、婚姻制度とは無関係に2人の親が権利や責任、義務を持つことが大事だと考えている。

<対談>

(宗像)家族が危機に陥ったときの仕組みが無いことに加え、他人に話すのが恥ずかしいということがあるのでは。

(木村)行政相談の中では、家族危機に陥る前の不登校や発達障害のようなケースで、個人の問題として捉えられてしまい、家族全体に影響する問題と答えられる相談員がいない。

(松村)不登校や発達障害にしても、個人に向きがち。ただ専門家の中には、個人の問題ではなく、家族の環境や関係などの家族システムに原因であることを分かっている人がいる。行政が動くためには、研究結果などのエビデンスが必要だと思う。

(宗像)現在は、家族内の揉め事が表に出る仕組みになっていないと思う。

(小畑)行政窓口に行っていきなり家族の話をすることも難しい。育児支援施設のような場所を定常的に利用している中で漸く相談することが出来た。

(松村)男性が行政窓口に行く機会が少ないと思う。男性は行政窓口に行く機会はあるのだろうか。行政の付き合いが女性だけになっているのではないか。

(宗像)行政の中で、男性に対する具体的な支援が無い。更に、行政に寄らない地域の力が弱い。核家族化が進んだ結果、相談できる仕組みが失われたのではないか。

(小畑)近所で心配してくれたおせっかいな人はいたが、「結婚は続けたほうがいい」という落とし所前提で話されていた。制度だけでない問題を含んでいると思う。

(宗像)単独親権制度に基づく、家族の価値観を押し付けることで昔は解決していたと思う。最後に、共同親権になったときの期待は?

(松村)「一人ひとりがそのままでいいんだ」という、大前提や理念の元に子育てをすることが大事ではいか。あとは共同親権をベースに各家庭で調整していくことが大事だと思う。

(木村)一人ひとりの中にジェンダーバイアスがあるため、共同親権とはなんだろう、単独親権とはなんだろう、男女平等の子育てとは何なんだろう、そういったことを対話することが大事だと思う。共同親権に法律を変えたらこうったことを考えなくてはいけなくなる。

(小畑)単独親権制度は、親と子の尊厳を社会的に奪っている。共同親権になることは人間の尊厳の回復になる。

(宗像)「親に褒められる」ことが嬉しい。そのことを単独親権制度が奪っている。

以上

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法制審が進む中、家庭へのインパクトが大きい共同親権の実現に向けて各地での市民対話が大切になってくると思います。「子育て改革のための共同親権プロジェクト」では、講演や対談等を共催してくれる方と共にイベントを実施させていただきますので、お気軽にお声がけください。