第2回弁論 原告意見陳述ほかレポート

当日は、被告国側からの反論準備書面、及び原告からの準備書面が提出され、それぞれ陳述されました。原告側からは、被告国側への求釈明がなされています。

国側準備書面は以下。

https://k-kokubai.jp/wp-content/uploads/2020/12/hikoku_daiiti-gou_junbishomen_1.pdf

https://k-kokubai.jp/wp-content/uploads/2020/12/hikoku_shouko-setsumeisho_2.pdf

求釈明の内容は以下の通りです。

 (1)  民法818条3項の「父母の婚姻中は」の規定により、非婚の父母を単独親権とする現行法の目的を明らかにされたい。

    また、上記現行の立法は具体的にいかなる仕組みにおいて同目的を達成しているか明らかにされたい。

 (2)  民法818条3項の「父母の婚姻中は」の規定により、婚姻中の父母を共同親権とすることの目的を明らかにされたい。

また、原告の宗像より、新型コロナの感染拡大について、法務省のホームページにおける面会交流についての説明文について、撤回と是正を求める賛同署名の説明がありました。証拠書面として300余筆が提出されています。法務省のオンライン面会交流の指導により、親子関係が絶たれた方の相談が会によせられています

意見陳述
               

                令和2年12月10日
                吉富藤樹

原告の吉富です。私は京都府に住む会社員で、来春小学生になる5才の男の子と妻は、富山県の妻の実家で妻の両親等と暮らしております。京都の幼稚園入園への手続きを終えた矢先の正月から離れて暮らさざるを得なくなり別居3年となります。  

妻から申し立てられた離婚調停と婚姻費用分担調停では、当分の間、別居すること、毎月の妻子への仕送り額、月1回以上子どもと会うことが取り決められました。調停の場では、私と子どもとの関係については議案にもなりませんでしたし、妻との関係について調停委員は強めに「あなたのことが怖いといって子どもを連れて出たんだよと」と伝えられるのみでことさら妻と私との関係性についても議案にされませんでしたし、親権も監護権も裁判所においてどちらか一方に確定しておりません。法的に妻と同じ親権者です。 

面会交流については、月に1回以上の頻度、未成年者の福祉を尊重することへの解釈と見解の違いで内容、方法について毎回混乱が生じていますが、何とか月に一回実施しております。

今の子どもの居所、妻の実家に子どもを迎えにいくこと、私の家に帰宅させること、会いに行ったときには子どもと寝食ともにすること、それもこれも当たり前の養育関係の回復を妻に訴えますが、要望は妻により拒否され続け、それをすると警察に通報するぞ、と脅されたり、実際に通報されたり、妻の意向に沿わなければわずか月1度の面会交流の機会さえ取りやめを申し出られ、子どものいる富山まで行きながら、子どもに会えないことが何度あったでしょう。              

幼稚園入園間近で口に食べ物を持って行ってやるしか食べられなかった子は、今では拙い箸使いで自分で食べ物を食べるようになりました。

その成長を喜ぶべきなのでしょうが、その過程に立ち会えなかったのは、私の不徳だけなのでしょうか。もう一度言います。私は妻と同じ親で親権者です。

来春、通う小学校をどこにするか、妻と話したいのですが、妻とそのことを積極的に協議することが出来ません。 

幼稚園の通園日誌を求めても知らせてくれません。何度聞いても今通う幼稚園の名前すら私に教えてくれないどころか、聞いた直後の面会交流では子どもが私に幼稚園名を伝えようとするのです。子どもに言わせるのです。

公立小学校なら居住地から割り出せて簡単に調べることが出来る事柄なのですが、本来親として相談すべきどこの小学校に通わせるのか、ということを議案にあげると忽ち子どもをどちらが引き取るのか、離婚するのかしないのかという単独親権制度の道筋にのってしまうからです。本来対等な親権者として教育に関する事柄は、親権の肝心なことがらなのにそれ自体議案にすることが、親権を失くす可能性をはらんでいるとは皮肉なことです。         

これがなぜなのか被告の主張をみてやっぱりかと思いました。

国は、子の養育についての調整規定が存在するとして「子と別居することになった親は、養育費の支払い等を通じて子の養育に関与することも可能」とはっきりと言います。要は、離れて暮らす親は、日ごろの寝起き、食事、躾などの養育は黙って同居親に任せ、口出しせず、養育費を払うことを主に考えなさいということなのですね。  

また、国はこうも言います。

「父母が離婚をする場合,上記のような法的関係は解消されるのであり,仮に父母の双方を親権者と定めるとすると,子の教育や医療など親権者が決定すべきこととされている事項について,父母間で適時に適切な合意を形成することができず,子の利益が害されるおそれがある。」と被告は述べます。また、被告は「広範囲に及ぶ子に関する決定の全てを離婚した父母が共同で行うのか,一部のみ共同で行うのであればどの範囲で共同するのか,父母間で合意が整わないときは誰がどのように解決するのかなど、様々な問題が生じることが予想される。」と述べます。

被告の主張はそのとおりなのですが、これは離婚する場合に限りません。私のように配偶者が勝手にすべてのことを一方的にやってしまった場合、親として対等なはずの私の意見を反映する解決の仕組みがないのです。ここが現行法の問題点なのです。おかしいと思うのですが、被告はこう言います。

「そして,民法819条2項や同条5項が,父母の協議が調わないときなどに裁判所が親権者を定めると規定しているのは,裁判所が後見的立場から親権者としての適格性を吟味し,その一方を親権者と定めることにより,子の監護に関わる事項について,適時に適切な決定がされ,これにより,子の利益を保護することにつながるものである。」

要するに、意見が整わないのであれば、最終的には離婚して一人の親に子供についての決定権を独占させてしまう。これが父母の意見がと整わないときの解決方法ということですね。

つまり、二人の実の親に親としての立場があることに対して、単独親権がその解決方法ということです。そうであれば、当たり前のことですが、婚姻中であってもなくても、父母が対等に扱われることはないですし、それぞれがちゃんと親として扱われることはない。

だから、私は今親としての扱いを受けていないのだと、このことがよく分かりました。

 私は被告の言うような現行法の目茶苦茶な解決方法によって、親としての立場を奪われたくありません。

ゆえに、もとより積極的に妻と離婚をしたいと思ったことはありませんし、まして子どもと離婚したいとも思ったこともありません。子どもと親との関係は契約書の要らない揺るぎない事実だと思いますが、こんな被告の主張を聞くと単独親権の撤廃もしくは親子の関係が保証される制度が整うまで妻と離婚は出来ません。

                           以 上

陳 述 書

令和2年12月10日

東京地方裁判所民事第43部合C1係 御中

                      山本 稔

原告の広島県在住の山本です。私は普通のサラリーマン、妻は専業主婦、子供は3人います。休日ともなれば家族で公園など遊びにいくなど、ごく普通の家族でした。

20代で店長職なども任されるなどサラリーマンも順調でしたが、その分任されている職責として転勤も多くあり、妻子には苦労を掛けていたのかもしれません。

下の子供が1歳のときに、私と一人娘であった妻の実家と折り合いが悪くなり、私の意見も聞かず妻は子供を連れて実家に帰ってしまいました。

妻実家との折り合いが悪い仲でも、当初は子供と会えていました。そんな中で義父が躾といって子供を殴る蹴るといった行為があった事をきっかけに、さらに関係が悪化して、義父に逆らえない妻からなかなか協力が得られず子供とは会えなくなっていきました。

そこから同居を求める調停、面会交流や監護権など家庭裁判所へ通う日々が続きました。調査官報告書も提出されましたが、『子を思う気持ち、監護能力等に顕著な差は認められず、どちらに養育されても子らは順調に成育していくことが期待できる。』と記載もされていました。妻には同居する意思はなく、月1回の面会交流の取り決めを調停調書にまとめました。

そして私は今も妻と婚姻中ですし、子どもの親権者です。しかし、私は子どものことの選択から一切排除されています。居所も、学校も、子どもが着る服も、何から何まで私の意見は尊重されることはありません。全部妻が決めて、私の意見が聞かれることもありません。唯一、調停調書で決まった面会交流にて、たまに会うことを許されたのみです。ひどい時期は調停調書で月1回と決まっているのに、年に1回しか長男には会うことができませんでした。そこにはお互いに協力して子を育てるべき関係はありませんでした。妻が会わせたくないと思えば会わせない!といった状況だけがありました。

 もう一度言います。私は親権者です。妻とまったく同じです。もちろん、親権を喪失にも停止にもされていません。

このようなことが実際に現行の法律のもとで起こっているわけです。連れ去られた後に知ったのですが、私のような当事者は多くいます。今この瞬間も全国の家裁には何人も私のような「親権者」がいるでしょう。

 なぜ、こんなことが起こってしまうのか。今回の国の主張を読んでよく分かりました。被告の主張を一部読みます。

 「父母が離婚をする場合,上記のような法的関係は解消されるのであり,仮に父母の双方を親権者と定めるとすると,子の教育や医療など親権者が決定すべきこととされている事項について,父母間で適時に適切な合意を形成することができず,子の利益が害されるおそれがある。」と被告は述べます。また、被告は「広範囲に及ぶ子に関する決定の全てを離婚した父母が共同で行うのか,一部のみ共同で行うのであればどの範囲で共同するのか,父母間で合意が整わないときは誰がどのように解決するのかなど、様々な問題が生じることが予想される。」と述べます。

 どうでしょうか。被告の主張はそのとおりです。そして、これは離婚する場合に限りません。私のように配偶者が勝手にすべてのことを一方的にやってしまった場合、親として対等なはずの私の意見を反映する解決の仕組みがないのです。おかしいと思うのですが、被告はこう言います。

「そして,民法819条2項や同条5項が,父母の協議が調わないときなどに裁判所が親権者を定めると規定しているのは,裁判所が後見的立場から親権者としての適格性を吟味し,その一方を親権者と定めることにより,子の監護に関わる事項について,適時に適切な決定がされ,これにより,子の利益を保護することにつながるものである。」

 なるほど、分かりました。要するに、意見が整わないのであれば、最終的には離婚して一人の親に子供についての決定権を独占させてしまう。これが父母の意見がと整わないときの解決方法ということですね。つまり、二人の実の親に親としての立場があることに対して、単独親権がその解決方法ということです。そうであれば、当たり前のことですが、婚姻中であってもなくても、父母が対等に扱われることはない、それぞれがちゃんと親として扱われることはない。

 だから、私は今親としての扱いを受けていないのだと、このことがよく分かりました。もし父母のどちらかが、共同生活や相互の協力扶助、そして養育の協力などを一方的に遮断してしまったら、突然に子らと会えない環境ができてしまっている現実がこの日本にはあることを、子を持つ全ての方に考えてほしいです。そして一方の子と別居することになった親は、具体的に養育費の支払を通じて養育に関与すればよい、と言われる現実があることを・・・ どうかこのような親と子の養育関係が不当に奪われないことが補償される環境を国として整備してほしいです。