小野田紀美参議院議員への質問状

2020年3月26日

質問状

参議院議員 小野田紀美 様

 共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会

お世話になります。私たちは共同親権を求めるグループです。

3月24日の参議院法務委員会で、貴職は「親に会わなくても子どもは死にはしない」と発言しています。私たちの会の家族構成は様々で再婚カップルや同居親もいますが、メンバーに子どもと引き離された経験のある親が多くいます。こういった発言は、それら子どもと引き離された親の心情を踏みにじり傷つけるものです。

また私たちのメンバーの多くは、成人したとはいえ、現在も生きている両親から生まれた子どもです。確かに私たちは死んでいないのでこのように質問ができますが、私たちに限らず、人が成人し生きてきた中で、(たとえ会える環境になくとも)親の果たした役割は大きかったことは認識しています。その観点から見ても今回の発言は、子どもに会えていない親を「生む機械」や「種馬」「ATM」と、公の席で子どもに言うのと同じように聞こえます。そこで、発言の意図を確かめるために、以下お聞きします。

1 「親に会わなくても子どもは死にはしないけど食べていけないと死んじゃう」という発言はつまり、食べさせさえすれば子どもの成長に親はいらない、という意図の発言でしょうか。

2 貴職の最低養育費の提案や養育費の履行確保の手続きの簡素化・改善の提案の対象は互いに話し合えないような状況の夫婦の別居がテーマになっています。実際そのような状況は子どもには望ましくないですが、子どものための話し合いを双方に強制するのではなく、また、貴職の述べるように「親に会わなくても子どもは死にはしない」ということであれば、いったん子どもは行政機関に保護し、任意の話し合いを終えたのち、経済力のある親に子どもを渡すという解決策が合理的なのですが、いかがでしょうか。

3 貴職の発言は、「お金は誰からもらってもお金で子どもの教育に資する」しかし面会交流は不適切な場合もあるという中でのことと思います。私たちはお金と違って親は取り換え可能なものだと思いませんが、お金が誰からもらってもよいものだとすると、親に対して養育費の履行の確保を求める理由はなんでしょう。

4 私たちは月に1回2時間程度の別居親の養育時間を裁判所が指示することで、多くの親子関係がその後途絶える事例を日常的に見ています。実際、家庭裁判所に面会交流を申し立てたうち、(会わないという取り決めも含め)何らかの取り決めができる割合は、ここ数年55%程度(司法統計)であり、そのうち4割程度が履行されなくなっています(2014年日弁連調べ)。別居親が「会わせないのに金を出すのか」と、養育意欲を失えば、いくら履行確保の方法を改善しても、抜け道を探すのは明らかです。

実際、他の国々では、離婚・別居時に養育時間の配分割合に応じた養育費の負担割合をとり(例えば、養育時間の分配が半々であれば養育費負担割合も半々になる)、それを双方に強制することで、養育費の受け取り率の割合が高い状態になっており、貴職の推奨するアングロサクソンモデルでも同様の制度を採っています。仮に行政が立て替えることがあっても、このほうが財政負担も低くてすみます。

日本でもこれは婚姻如何を問わず同居カップルにはなされていることがありますし、適切な養育時間配分のモデルケースとそれに応じた養育費の負担割合の基準があれば婚姻外カップルが共同親権でなくても進められる施策です。こういった制度の導入による双方の養育分担の適切な配分こそが男女平等を推進し、子に資すると思うのですが、貴職が経済的な責任のみを別居親に求める理由は何でしょうか。

5 貴職は「養育費を払わないような親は親じゃない」と述べます。そうなると日本に多くいるいわゆる「専業主婦」も親ではないことになります。過去厚生労働省は「育児をしない男を、父とは呼ばない」(1999年)と述べましたが、男女同一賃金のもと、育児も経済分担も双方が担うのが男女平等だと私たちは思います。もしかして貴職は、多くの別居親も含めた男性に、子育て(育児)にかかわらせたくないのでしょうか。

以上

回答は4月3日までに上記まで、郵送またはファックスにて送付ください。