2021.6.17 東京家庭裁判所申し入れレポート

 今回の家裁申し入れでは、2021年6月17日に、今まで当会から東京家裁に提出した要望書・要求書に関する司法行政文書申出書を家裁に提出したことを踏まえ、「当会が提出した要望書・要求書に関する司法行政開示文書の迅速な情報開示および両親の養育時間配分ルール・感染症流行下の審理指針策定の要求書」という趣旨の要求書を提出しました。
 要求書では、先に提出した要望書・要求書に関する司法行政文書を可及的速やかに提出することを求める内容に併せて、作花知志弁護士が提訴した離婚後単独親権意見訴訟(東京地裁平成31年(ワ)第7514号)令和3年2月17日判決において、東京地裁が「親である父又は母による子の養育は、子にとってはもちろん、親にとっても、子に対する単なる養育義務の反射的な効果ではなく、独自の意義を有すものと言うことができ、そのような意味で、子が親から養育を受け、又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有すということができる。」と判断した内容を引用し、家裁が現状の家事司法の運用実態を改善しないのであれば、家裁自ら親子の人格的な利益を保護せず、両親が平等に子の養育に関わるための養育義務を妨げていると言わざるを得ない、と主張しました。そして、改めて以下の3点を要求しました。
1. 月1回2時間などという不平等な面会交流・間接交流の取り決めを即刻廃止すること
2. 平等な「養育時間の配分ルール」を速やかに決定すること
3. 新型コロナ等感染症流行時においても親子関係を維持すべきことを明示したルールを速やかに策定すること
 なお、東京家裁総務課は、昨年からの当会の要望書・要望書に対して、今まで1度も明確に回答しておらず、極めて不当な対応を続けてきたため、今回は書記官室の書記官に要求書を提出し、本問題が個別事案に留まらず社会問題化していることを伝え、本問題を家裁裁判所長に連絡し、家裁内全体で情報共有しすることを書記官に求め、了承して頂きました。
 また、現在提出中の司法行政文書申出書については、家裁内での進展の有無に関係なく1ヶ月以内に何らかの連絡を頂けると伺っていますので、連絡が届き次第、改めて情報共有いたします。

要求書は以下

2021年6月17日

最高裁判所長官   大谷 直人 様
東京家庭裁判所所長 杉原 則彦 様

当会が提出した要望書・要求書に関する司法行政開示文書の迅速な情報開示
および両親の養育時間配分ルール・感染症流行下の審理指針策定の要求書

共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会
長野県下伊那郡大鹿村大河原2208
担当 佐藤 創

当会は、最高裁判所長官宛および家庭裁判所所長宛に、2020年6月11日に「新型コロナウイルスの影響による家事司法の崩壊防止に向けた要望書」、2020年12月10日に「双方の親の養育時間配分ルールの導入および感染症流行下の審理指針策定の要望書」、2021年3月18日に「親子の人格的権利を保護する平等な養育時間配分ルールの策定および新型コロナウイルス感染症流行下の審理指針策定の要求書」を提出しましたが、未だに家事司法の運用実態は全く改善されておりません。

東京地方裁判所 令和31年(ワ)第7514号 損害賠償請求事件(離婚後単独親権違憲訴訟)令和3年2月17日判決では、「一般に、子にとっては、親からの養育を受け、親との間で密接な人的関係を構築しつつ、これを基礎として人格形成および人格発達を図り、健全な成長を遂げていき、親にとっても、子を養育し、子の受容、変容による人格形成および人格発展に自らの影響を与え、次代の人格を形成することを通じ、自己充足と自己実現を図り、自らの人格をも発展させるという関係にある。そうすると、親である父又は母による子の養育は、子にとってはもちろん、親にとっても、子に対する単なる養育義務の反射的な効果ではなく、独自の意義を有すものと言うことができ、そのような意味で、子が親から養育を受け、又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有すということができる。」と判断しており、もし、家庭裁判所が現状の家事司法の運用実態を改善しないのであれば、家庭裁判所自ら、親子の人格的な利益を保護せず、両親が平等に子の養育に関わるための養育義務を妨げていると言わざるを得ません。

当会は、上記要望書および要求書が、現在家庭裁判所内でどのように取り扱われているかを確認するため、2021年6月7日、東京家庭裁判所が作成した司法行政文書開示を求める申出書を提出いたしました。可及的速やかに情報開示していただくよう要求いたします。

また、上記要望書および要求書と重複しますが、当会は改めて次の事項を強く要求いたします。

要求事項1 家庭裁判所が調停で斡旋し、審判でも決定する、月1回2時間の面会交流、あるいは写真や手紙の送付といった間接交流でその後の面会交流が拡充されることは事実上ありません。利用者に期待を持たせるこのような取り決めは即刻廃止してください。

要求事項2 親子の人格的権利を保護する平等な「養育時間の配分ルール」を可及的速やかに策定し、早急に面会交流調停・審判および履行勧告時に運用して下さい。

要求事項2 「新型コロナウイルス等の感染症流行時においても親子関係は維持すべきことを
明示したルール」を可及的速やかに策定
し、早急に面会交流調停・審判および履行勧告時に運用してください。

以上