「共同親権で何が変わる、何を変える」Part2レポート、動画あり

7月23日に表記の討論会を進める会総会に合わせて塩尻で行いました。動画は以下から。左から嘉田由紀子さん(参議員議員)、久米泰介さん(マスキュリスト)、宗像充(共同親権運動)

終了後の記念撮影です。

討論「共同親権で何が変わる、何を変える」Part2

日時:             2020年7月23日(木・祝)14:00〜16:45

場所:             長野県塩尻市えんぱーく5Fイベントホール

パネラー:        嘉田由紀子(参議院議員(碧水会)、元滋賀県知事)

(敬称略)           久米泰介(マスキュリスト、アメリカを中心とした男性の権利運動を

日本に紹介している第一人者)

宗像充(ライター、共同親権・国家賠償請求訴訟を進める会代表)

  • 討論のテーマ/パネラー3名の話

    嘉田由紀子さん

嘉田議員は、当日60枚資料を用意していましたが、現在の日本の家族法制がおかしい点、問題解決には家族主体の省庁が必要な点、女性の有業率/出生率の/財政の相関性、政治家としての日本の家族の幸せに対する問題意識や取り組み、離婚件数増加の社会問題化、直近の法務委員会周りの動静についてお話し、最後に、参加者に対する3つの提案をしていただきました。

  • 現在の日本の家族法制はおかしい
  • 昭和22年の民法改正で男女同権になったが、男女の役割分担意識は未だ強い。
  • 1979年の「日本型福祉社会制度」で、当時の自民党は扶養家族・専業主婦優遇税制度・専業主婦政策を一貫して整備した。
  • 一方、多くのヨーロッパ諸国では1970年代に政治経済分野の女性参画が進んだ。
  • 家族法制改革には家族主体の省庁が必要
  • 子ども家族制度には①経済的支援、②保育サ―ビス支援、③結婚・親子関係・離婚・養子縁組等家族法にかかわる社会的構造分野、の3分野が必要。
  • ①、②は比較的よく出来ているが、③は子ども家族主体の省庁ができないと動かない。

→法務員会で表面上は少し動いたが、正直、共同親権への民法改正はまだまだ遠い先。

  • 女性の有業率/出生率の/財政の相関性
  • 実は、日本は1975年から少子化に入っている。
  • 女性が仕事すると子どもが生まれないと言うが、女性の有業率が高い方が出生率は高い。
  • 北欧は出生率も女性の有業率も高く、財政も安定している(男女とも納税者で社会参画)。
  • 日本・韓国・ギリシャは財政不安定、男性中心社会で出生率も低い(納税者が片方のみ)。
  • 政治家としての日本の家族の幸せに対する問題意識や取り組み
  • 2006年に子育て支援少子化対策で滋賀県知事選挙に勝利した。
  • 「どのように日本全体の家族の幸せを作ったら良いか」が大きな問題意識。
  • 「子育て三方良し」制度は、子どもも親も幸せ、結果的に社会の持続的安定を目指した。
  • 女性向けの就労支援センターを設立、日本で最初のファザリングフォーラムを開催。
  • 実績を国政へ。離婚後の子どもの経済・精神・社会性支援、共同親権等25項目を列挙。

→駒崎氏が突然ネットで「嘉田由紀子落選運動」を始め、何万人かが落選運動を開始。

  • 離婚件数増加の社会問題化
  • 離婚件数は昭和25年からずっと増えている。
  • 昭和20年代の出生数は280万人、親が離婚した子どもが8万人、86人に1人。
  • 昨年は86万人、親が離婚した子どもが21万人、4人に1人。明らかに社会問題。
  • 政府がやっとひとり親世帯の貧困問題に着手、ただ単に養育費を取れば良い話ではない。
  • 24カ国の親権・監護法制の比較結果で、単独親権はインド、トルコ、日本の3国のみ。
  • 日本は協議離婚が9割だが、養育費・面会交流・共同養育計画が義務化されていない。
    子どもはもちろん、当事者も社会全体も自覚していないため、皆さんのように片親が子どもと会えないという問題が見えてこない。
  • 2012年に民法766条が改正され、離婚届に養育費と面会交流の項目が追加。
    しかし、チェックをしなくても中身は何も問われない。
  • 直近の法務委員会周りの動静
  • 法務委員会で子どもの最善の利益について17回質問(今年9回、昨年8回)。
  • 今年1月、養育費取り立て確保を要望する面々(赤石氏、駒崎氏)が、森法務大臣に「養育費の取り立て確保に関する要望」を提出。
    要望書の4番目に、“共同親権など親権の在り方とはリンクさせないこと”と記載。
  • 法務大臣は私的勉強会実施、6月に自民党女性部が安倍総理に養育費義務化のみ提出。
  • 共同養育支援議員連盟は「子どもの養育に関する合意書作成の手引とQ&A」を提出。
    “未成年の子どもがいる離婚の場合、養育費と面会交流の双方を内容とする、共同養育に関する取り決めを原則義務化、協議離婚成立の要件とする”、と要望書に記載。
  • 法務大臣は家族法研究会で研究中と言うが、思想・イデオロギー問題になりつつある。

→問題点は、雑誌「Hanada」5月号の牧野のぞみ氏、7月号の三谷英弘氏の記事に記載。

  • 参加者に対する3つの提案
  • 私は皆さんに3つ提案したい。
  • 「離婚後の子どもたちの具体的で生々しい声を社会的に発掘し、発信できないか」
  • 「海外各国がいつ頃、どのような社会的活動で共同養育・共同親権になったか」
  • 「それぞれの居住地の市区町村長・市区町村議会議員に、離婚後の子どもや父母の問題について具体的に呼びかけ、共同養育になった時の行政施策を打てないか」
  • 共同養育・共同親権になったら市区町村長にはDVや児童虐待は歯止めをかけてもらい、父母に葛藤があっても父子・母子関係は共同養育で進めていただく。
  • 世界中ができているのに日本ができないはずはない、諸外国の例も含めて、この運動を大きくして欲しい。

    久米泰介さん

マスキュリスト(男性差別をなくし男女平等を目指す運動家)の久米さんは、フランス大使館の勉強会兼昼食交流会の件、法制度(親権制度)における男性差別についてお話していただきました。

  • フランス大使館の勉強会兼昼食交流会
  • 昨年11月、駒崎氏と明智カイト氏と私、各新聞者の記者が、フランス大使館のローラン・ピック駐日大使の勉強会兼昼食交流会に参加。
  • 私は共同親権賛成派、明智カイト氏はやや賛成派、駒崎氏は反対派という立場。
  • 反対派に対しどのように話を進めていくかということが大使館のメインの目的。
  • 駒崎氏はDVが防げないので共同親権は駄目だという話にすり替え。そのことはフランス大使館も把握ずみ。
  • 駐日大使は、フランスの日本大使館で、日本の弁護士団体が、「ハーグ条約をうまくすり抜けて連れ去る方法」を教えていたことがニュースになった件を大変に問題視。
  • 日本は結局DVを口実にして単独親権を維持したいのではないか、と指摘。
  • 駒崎氏の対応を見て、政治的な圧力があるのではないかと感じた。
  • 法制度(親権制度)における男性差別
  • 私の出した「法制度における男性差別」という本の中で、離婚した場合は基本的に男性側が不利となるという世界共通の問題についても言及している。
  • フェミニスト団体は面会交流に抵抗を示し養育費を推す方針を取ることが多いが、父親の権利運動は、子どものことを考えて面会交流し、共同養育を進めるようとするため対立が起こる。この運動はアメリカやカナダでも大変苦しい戦いがあった。
  • 心理学で学んだ資料では、面会交流が不履行だと養育費の回収率は下がる。
  • 養育費の回収率の測定方法にも問題があり、親権者(主に母親)養育費が回収されているかを聞くため。バイアスのかかった情報源となる。
  • 実際に養育費が払われていても払われていないことにされ、父親が養育費踏み倒しの悪人にされてしまうという大きな問題がある。
  • 男性を一方的に悪者とする法制度の不利益があることを無くしていくのも、男女平等の一つとして大切だと思い、現在の活動を行っている。

    宗像充さん

「どうなる?婚姻制度と非婚の親」というテーマで、離婚/非婚における共通/非共通部分の問題提起として、非婚の親としての共同親権との出会い、国側の答弁書~婚姻制度の意義、別姓、同性婚と婚姻制度、共同親権と家族のあり方をついてお話していただきました。

  • 非婚の親としての共同親権との出会い
  • 片親引き離しに介入し続ける元妻の夫(養父)
  • 先日、子どもとの面会交流の際に妻の夫(養父)に邪魔をされた。
    養父としては良かれと思ってやっている(自分の家庭に私が時々邪魔をする。)。
  • 私は事実婚で親権が無く、人身保護請求で子どもと引き離され会えなかった経緯がある。
  • 元妻が再婚し私の友人が養父となったが、母親も養母となり、現在は養父母の家庭。
  • 現在の民法では、子どもを「嫡出子」にするのが家にとって一番良いという考えがあり、民法上、「非嫡出子」を「嫡出子」にするには、母親とも養子縁組する必要がある。
  • “子どものことを一番考えるのは実父母である“という本来当たり前の前提なしに、裁判所や民法学者が規定し、一般的な「子どもの福祉」があるかのように言っている。

(この場合の「子ども」は、親子関係の「子」ではなく、小さい子どもという意味の「子」で、「裸の子の福祉」と言うが、このような「子どもの福祉」の解釈がある。)

  • 離婚後共同親権、婚姻外共同親権
  • 「離婚後共同親権」という言葉を使うと、離婚後の共同親権のみを議論すれば良いという話になるが、実際に単独親権なのは離婚と未婚(非婚)。
  •  「単独親権を撤廃/廃止する」と言うが、それは婚姻中/婚姻外に関わらず、単独親権に合理性が無ければ、民法上はどんな親子関係でも共同親権にするのが良い。
  • 「共同親権導入」の危うさ
  • 「共同親権を導入する」と言うと、導入できる人たちだけ共同親権、できない人たちはあなたたちが悪い、と一層差別される構造になりかねないので少々危うい。
  • 子どもに会いたい親だけでなく、養育を放棄し逃げる親もいる。
    揉めるので単独親権としてしまうと、養育費不払い、非認知、堕胎等が解決できない。
  • 離婚していない方々は、「親権者なのに子どもに会えないのはおかしい」と言うが、「親なのに子どもに会えないのがおかしい」と言えばよい。
    「親権者なのに子どもに会えないのはおかしい」と言うと、逆に、「親権が無ければ子どもに会えなくても仕方がない」、ということを肯定することにもなる。
  • 国側の答弁書~婚姻制度の意義
  • 国側が守りたいのは「婚姻制度の意義」
  • 共同親権・国家賠償請求訴訟の国側の答弁書では、単独親権の合理性の根拠として「婚姻制度の意義」と何回も書かれている。
    婚姻関係があることで協力できるのだから、婚姻中の共同親権には意味があるし、婚姻していなければ協力できないのだから単独親権で良い。
    実際は、婚姻していることと、子どもの事で協力できることは全然一致していない。
  • 「婚姻制度の意義」は非婚の親への差別
  • 現在の婚姻制度の背景に、正式な結婚の下で子どもを生むことが国に貢献できる、という非婚の親(内妻、「2号さん」。「お妾さん」)に対する差別発想がある。
  • 別姓、同性婚と婚姻制度
  • 戸籍(家制度)とセットの婚姻制度
  • 現在の婚姻制度は戸籍とセット。父/母/子の関係以外を非正式とし差別する(内縁化)。
    男女で結婚/同姓を名乗る/婚姻中のみ共同親権で、それ以外の形式を認めない、結婚を国が認定する代わり、その形式を受け入れなければならない(強固な岩盤規制)。
  • 別姓訴訟、同性婚訴訟
  • “強固な岩盤”に、共同親権訴訟、夫婦別姓訴訟、同性婚の訴訟の3つの訴訟が挑戦している(婚姻制度に係る規制を緩和し、結婚の中身を軽くする方向性は一緒の訴訟。)。
  • 共同親権と家族のあり方
  • 現在の婚姻制度への対処法
  • 事実婚を選択する人がいるが、これは逆に単独親権を矯正される。
  • 事実婚だと共同親権が持てないという理由でフェミニストの方が結婚している。
    (婚姻以外でのパートナーシップが単独親権だという知識は既に出回っている。)
  • 共同親権には相手に安心感を与え、責任を取ってもらうという両方の意味がある。
    共同親権になると、結婚/事実婚を選択しなくてよくなるため、相手とのパートナーシップはより相対化されていく(結婚は手段となり、同姓も強制されない。)。
  • 一夫一妻のもとでの共同親権
  • 7月22日の親子ニュース“アメリカでは事実上の一夫多妻制が起きている。” (橘玲氏)
    女性からするとハイスペックな男と結婚するチャンスが広がる、男からすると、モテる男しか結婚できなくなる(男性は有利とは必ずしも言えない)。
    共同親権が実現した場合は、婚姻外でも共同親権になり、結婚と親子関係が分離される。
  • 共同親権で多夫多妻が想定できるが、歴史上制度的に多夫多妻が保障されることは無かった。
    一夫一妻制のもとでの共同親権制度を、みんなで探っていかなければならない。
    愛している人がいるなら「とりあえず結婚しちゃえば。」(古市憲寿氏)
    子どもが出来たら、結婚制度とは別に、親としてずっと負わなければいけない社会的責任ができる、というのが共同親権のあり方になる。
  • 男女間以外も含まれるパートナーシップと、親子関係が分離されていく中での婚姻制度。
    アメリカ;「とりあえず結婚しちゃえば。」を地でいって、離婚再婚を繰り返す。
    フランス/スウェーデン;「パックス」、「サンボ」のような同性婚の関係も適用できパートナーシップが発達。(結婚自体の重さは変わらず。)
    日本がどちらに行くかは分からないが、日本が共同親権に移行することによって、何らかの形で取り入れて対応していかなければいけない。